「法華仏教講座」第1回 「天台大師所説の禅観と止観」報告

「法華仏教講座」第1回 「天台大師所説の禅観と止観」報告
2023年4月1日 commons

令和5年4月1日(土)午後4時30分~、新宿・常圓寺祖師堂地階ホールを対面講義の会場として、愛知学院大学専任講師の大松久規先生による「天台大師所説の禅観と止観」の講義が、Zoomオンライン聴講もできるハイブリッド型の講義として執り行われた。
大松先生は、天台大師智顗において、前期時代に説示された禅観から、晩年の『摩訶止観』を中心として確立された止観が、実際にどのよう関係にあるか、先行研究を確認された後、『釈禅波羅蜜次第法門(次第禅門)』と『摩訶止観』の内容を具体的に対比して考証することを中心に、講義を進められた。
大松先生は、天台大師の場合、すべての仏法を「禅」「法華三昧」「六妙門」「覚位三昧」「止観」など、特定の概念によって統摂しようとする姿勢が共通していること、そして、禅から止観へと転回・転向・転化したとまではいえなく、「展開」したと見るべきであることを明らかにされた。
『摩訶止観』は、日蓮聖人が重用され、独自の受け止め方を通して題目仏教の樹立に繋がったことが知られる。その『摩訶止観』が、天台大師智顗自身においてはどのような意義を有していたか、今日の仏教学的観点からポイントを明らかにした大変有意義な講義であった。
当日は、仏教思想の研究や教育に関わる先生方をはじめ、多くの聴講者が集った。講義終了後の受講者の質問にも明快かつ詳細に解答したくださり、講義終了後、聴講者から大きな拍手が送られた。素晴らしいご講義であった。(スタッフ)