法華コモンズ

お知らせ

本年度の後期講座、受講申込の受付中です。下記の「前期講座一覧」の説明をご参照の上、お申込みのほど宜しくお願いいたします。

【これからの法華コモンズ講座一覧】                                     

対面&実況講義】

5月29日(月)午後6時半~8時半
菅野博史 先生                                                                 連続講座 前期第2回「『法華経』『法華文句』講義」通算60回目

★菅野博史先生の「摩訶止観講義」(福神研主催)が再開されました。                                                                   開催日時は「『法華経』『法華文句』講義」日と同日の、午後3時30分~5時30分です

【対面&実況講義

6月3日(土)午後1時半~5時半

斎藤明 先生 

1日集中講座 「中観思想とはなにか―その成立と展開」

対面&実況講義】

6月6日(火)午後6時半~8時半
菊地大樹 先生                                                          連続講座 歴史から考える日本仏教⑩ 日本の偽書・偽文書を読み解く                                        第3回「中世「神話」と偽書・偽文書」

対面&実況講義】

6月24日(土)午後4時半~6時半
魚住孝至 先生                                                                シリーズ講座 法華仏教講座 第3回「『法華義疏』について」

対面講義でもオンライン講義でも、当日に欠席となった受講者には、講義の終了後に「講義の動画配信」を行いますので、会場に来れない方や日程が合わない方も、動画により受講することができますので、ぜひ遠方の方も受講申込をお願い申し上げます

 

★【対面講義】の会場は、祖師堂「地階ホール」が基本となります。
★『2023年度前期講座パンフレット』が出来ました! ここをクリック
★『法華コモンズ通信』第10号が発刊です! ここをクリック

 

 

【講義動画を体験してください】

⇒菊地先生のご厚意により、無償の動画講座となりました。詳細はここをクリック!([講義のようす]へ)
◎菊地先生の『日本人と山の宗教』が、「JBpress」のHPの「動画で新刊紹介」で取り上げられました。題名は「登山愛好者が知るべき「山の宗教、その千年の歴史」です。菊地先生が40分間近くインタビューに答えて本書を解説されています。ぜひご覧ください。⇒https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62060

【new!】当法華コモンズ仏教学林の教学委員・花野充道博士の古稀記念論文集『仏教思想の展開』『日蓮仏教とその展開』が発刊されました!  ―花野博士の年譜、著書・論文目録、そして、長編の研究論文をはじめ、当学林関係者、また、当学林でご講義いただいた多くの先生方の最先端の論攷が収録されています!――

花野充道博士古稀記念論文集(全2巻)

第1巻『仏教思想の展開』

第2巻『日蓮仏教とその展開』

(2020 年10月、山喜房佛書林)

2冊1セット 30,000円+税

―――――◇―――――

第1巻『仏教思想の展開』(A5判 838頁)

目次

『法華経』の女人成仏観と日蓮 ―「変成男子」とsaṃdarśana-

岡田真水

法華経の付嘱について

前川健一

「不軽菩薩『我深敬』等の二十四字と日蓮の題目」 ―インド・オリジナル法華経から見て―

苅谷定彦

常不軽菩薩の授記と但行礼拝について

澁澤光紀

『無量義経』の真偽をめぐって

大竹 晋

『高王観世音経』の起源 ―「仏説観世音経」から「仏説高王経」へ―

池 麗梅

世親『法華論』のチベット語訳は存在したのか

望月海慧

馬鳴菩薩造・真諦三蔵訳『大宗地玄文本論』の成立事情

石井公成

「真如随縁」の相即論に関する一考察

井上克人

『大乗起信論』における「本覚」「始覚」の成立について ―「従本已礼」という表現に注目して―

藤井 淳

仏性論争における『大乗起信論』の位置

藤村 潔

『大乗起信論義記』における無碍説 ―『探玄記』との比較を中心に―

金 天鶴

『大乗止観法門』に見える真如・如来蔵説 ―『究竟一乗宝性論』との関連性を中心として―

李 子捷

天台智顗における法雲の法華教学批判と受容の再検討

早川貴司

天台智顗における燃灯仏理解の一側面 ―『法華玄義』の引用を中心にして―

村上東俊

天台智顗の死について ―中国の学者の解釈を中心として―

菅野博史

章安灌頂による『摩訶止観』の本文整備 ―十境・十乗観法(近方便)を中心に―

村上明也

李華撰『故左渓大師碑』に見る知識人の佛敎認識

伊吹 敦

唐代における『法華経』信仰の諸相

松森秀幸

中国天台における『金光明経』思想の受容

林 鳴宇

最澄『通六九証破比量文』の思想的位置 ―二比量を中心に―

師 茂樹

伝聖覚撰『大原談義聞書鈔』と本覚思想

安達俊英

天台本覚思想と證空 ―「現生往生」思想の究明を射程に入れて―

中村玲太

道元禅師と本覚思想

清野宏道

再考・持経者から日蓮へ ―虚空蔵求聞持法と『不動愛染感見記』―

菊地大樹

言霊と真言と題目 ―聖なる言葉と予言をめぐって―

鎌田東二

日蓮と密教 ―虚空蔵求聞持法、三光天子、戒家の印―

杉原愼了

日蓮の三論批判

奧野光賢

鳳潭の『大乗起信論義記幻虎録』について ―その思想史の位置づけを中心に―

張 文良

鳳潭と性悪説 ―『起信論註疏非詳略訣』を中心に―

末木文美士

『立正安国論』の近代 ―二つの「立正安国」の論理とそのゆくえ―

佐藤弘夫

仏教とマインドフルネス ―アメリカのマインドフルネス―

古瀬珠水

――――――◇――――――

第2巻『日蓮仏教とその展開』(A5判 866頁)

目次

花野充道博士 年譜

花野充道博士 著書・論文目録

日蓮教学の思想史学的探求

花野充道

日蓮聖人の法華経救済のイメージと『大曼荼羅』図顕

渡邊寳陽

日蓮における地涌・上行菩薩の自覚をめぐる論争 ―論点整理―

間宮啓壬

日蓮教学における題目論の一断面

布施義高

事の一念三千に関する再考察 ―題目との関係性をめぐって―

三浦和浩

『兄弟鈔』における「伯夷伝」小考

大賀義明

日蓮真蹟遺文『下方他方旧住菩薩事』について

山上弘道

日蓮遺文に登場する北条一族覚書 ―呼称・人物比定・日蓮遺文の真偽―

坂井法曄

佐渡国法華講衆について ―「師弟子の法門」のこと―

大黒喜道

日蓮と法華講会

石附敏幸

慶林日隆の八品正意論管見

大平宏龍

慶林坊日隆の一仏二名論 ―立論の動機と目的―

平島盛龍

日隆門流の形成と教団維持に関する一考察

小西日遶

了義院日達と本有院日相の論議応酬の一考察

鈴木正嚴

近世不受不施論争における権力に対する譲歩と殉教 ―国主の不施の受不受の問題を中心に―

ジャクリーン・ストーン

佛立開導・長松日扇師の信行成仏論 ―三途成不論争を通して―

福岡日雙

創価学会草創期における政界進出の理念と動機を再考する

中野 毅

日本の近現代と日蓮仏教の「再歴史化」 ―国柱会と創価学会の「国立戒壇」論の場合―

西山 茂

日蓮主義と九識論 ―田中智学と宮沢賢治における九識心王の日蓮をめぐって―

ブレニア・ユリア

望月歓厚『日蓮教学の研究』における本尊論の検討

宮田幸一

現代修行道場の諸問題 ―僧としての修行者は如何にあるべきか―

戸田日晨

法華コモンズの講座一覧

各講座とも当日受講(途中受講)が可能です。

2023年度(前期)講座一覧

開講予定の講座 受講受付中です。

※下記日程は、開講決定時のものです。新型コロナウィルス等による日程やオンライン講義への変更については、上部の緊急連絡にてご確認ください。

シリーズ講座「法華仏教講座」 全6回

講座 詳細

「法華仏教講座」

「法華仏教講座」

先生

会 場: 新宿 常円寺 祖師堂3階会議室

開催日: 2023年度 前期6回 ※原則毎月1回土曜日 午後4時30分~6時30分 ※対面講義が不可の場合は、オンラインのみ(後に動画配信)で開催する予定です

受講料: 1期分12,000円(半年間6回)※1回のみ聴講:3,000円

《講師よりのコメント》

各回の講座概要は、こちらのパンフレットPDF法華コモンズ受講用パンフ2023年度 前期P.7~10にてご確認ください。

 

《講師略歴》

第1回

大松久規(おおまつひさのり):1985年、岩手県生まれ。駒澤大学大学院人文科学研究科仏教学専攻博
士後期課程修了。博士(仏教学)。現在、愛知学院大学専任講師。近年の論文に「『観心論』について」
(『曹洞宗総合研究センター学術大会紀要』23、2022年)、「宝地房証真の「四種三昧」受容」(『禅研究所
紀要』49、2021年)など。

第2回

大平寛龍(おおひらかんりょう):1973年、香川県生まれ。立命館大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。興隆学林専門学校宗学研究科卒。現在、興隆学林専門学校専任講師。主な論文に、「日隆聖人御所持『心空嘉慶版妙法蓮華経』『科註妙法蓮華経』小考」(『桂林学叢』第25号、2014年3月)。「『本門弘経抄』と『科註妙法蓮華経』」(『印度學佛教學研究』通巻第144号、2018年3月)。「本国寺日伝写本『科註妙法蓮華経』に関する一考察」(『興風』第33号、2021年12月)など。

第3回

魚住孝至(うおずみたかし):1953年兵庫県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。現在、放送大学特任教授。
主な著書:『宮本武蔵 日本人の道』(ぺりかん社・2002)、『宮本武蔵』(岩波新書・2005)『芭蕉 最後の一句』(筑摩選書・2011)、『日本文化と思想の展開―内と外と』(放送大学教育振興会・2022)、訳書にオイゲン・ヘリゲル著『新訳 弓と禅』(角川ソフィア文庫・2015)など。

第4回

三輪是法(みわぜほう):1964年生まれ。立正大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。立正大学仏教学部教授。共著:『仏教の教え』(春秋社)、『アジアに広がる仏教』(山喜房佛書林) 論文:‘Varieties of Belief in Nichiren Buddhism in Modern Japan’(『日本印度学佛教学研究』第69巻第3号)、「日蓮聖人の諸宗認識―問題提起」(『日蓮教学研究所紀要』第47号)など。

第5回

坂井法曄(さかいほうよう):1970年生まれ。立正大学仏教学部卒業。興風談所所員。論文:「日蓮遺文中の擡頭・平出とその周辺」(『興風』33号)、「日蓮の語る承久の乱とその周辺」(『承久の乱研究の最前線』近刊)など。

 

第6回

花野充道(はなのじゅうどう):1950 年京都府生まれ。早稲田大学大学院文学部東洋哲学専攻博士課程修了。 博士(文学)。法華仏教研究会主宰。『法華仏教研究』編集長。法華コモンズ仏教学林教学委員。単著に『天台本覚思想と日蓮教学』(山喜房仏書林、2010年)、単編著に『シリーズ日蓮第1巻・法華経と日蓮』(春秋社、2014年)、『シリーズ日蓮第2巻・日蓮の思想とその展開』(春秋社、2014年)、『シリーズ日蓮第3巻・日蓮教団の成立と展開』(春秋社、2015年)、『花野充道博士古稀記念論文集-仏教思想の展開・日蓮仏教とその展開』(山喜房仏書林、2020年)。他、論文多数。





(2023年度 前期6回)

第1回

「天台大師所説の禅観と止観」-大松久規先生

4月1日

第2回

「『科註妙法蓮華経』と日蓮門下との関わりについて」-大平寛龍先生

5月27日

第3回

『法華義疏』について」-魚住孝至先生

6月24日

第4回

「一念三千の現代的解釈」-三輪是法先生

7月29日

第5回

「近世後期の日蓮信奉者 深見要言について」-坂井法曄先生

8月26日

第6回

「智顗教学と日蓮教学の仏身論」-花野充道先生

9月30日

一日集中講座「中観思想とは何か-その成立と展開-」 斎藤明

講座 詳細

「中観思想とは何か-その成立と展開-」

会 場: 新宿 常円寺 祖師堂地階ホール

開催日:2023年6月3日(土) 午後1時30分~5時30分

受講料: 5,000円 ※対面、オンラインとも同額になります。

《講師よりのコメント》

中観思想は、瑜伽行唯識思想とともに、インド大乗仏教の中核をなす思想の一つとしてよく知られる。これら二つの思想は、いずれも初期仏教由来の非有・非無の中道説に淵源し、大乗経典、とくに初期の般若経の思想をもとに展開したという点は共通する。ただし、時代背景と、教理解釈をめぐる微妙な相異は、のちに大乗仏教思想の二つの潮流を生むことになる。5世紀以降にはまた、瑜伽行派と中観派という二大学派が誕生し、両学派相互の議論や、仏教内外の論争をへて、それぞれに興味深い展開を見ることになった。
これらの思想的な展開は、とくに瑜伽行派の学説と深い関わりもつ如来蔵・仏性説も相まって、インドにとどまらず、東アジアや内陸アジアにおける仏教思想にも大きな影響を与えることになる。
この講義では、仏教思想史における中観思想とはなにか、またそれはいかなる背景のもとにどのような展開を見ることになったのかを再考してみたい。
〇参考文献「中観思想の成立と展開―ナーガールジュナの位置づけを中心として―」、『空と中観』(シリーズ大乗仏教6 春秋社刊))3頁~41頁

《講師略歴》

斎藤明(さいとうあきら):1950年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。オーストラリア国立大学PhD。国際仏教学大学院大学教授。東京大学名誉教授。
著書にA Study of Akṣayamati(=Śāntideva)’s Bodhisattvacaryāvatāra as Found in the Tibetan Manuscripts from Tun-huang,1993, 『大乗仏教とは何か』(シリーズ大乗仏教1、共編著[代表]、春秋社、2011)、『空と中観』(シリーズ大乗仏教6、共編著[代表]、春秋社、2012)、『スティラマティ『五蘊論釈』における五位百法対応語』(共編著[代表]、山喜房佛書林、2022)他。

集中講座 全2回「鎌倉仏教研究史について~官僧・遁世僧論の立場から」 松尾剛次

講座 詳細

「仏教哲学再考―『八宗綱要』を手掛かりに④」

会 場: 新宿 常円寺 祖師堂地階ホール

開催日

第1回 7月1日(土) 午後1時30分~5時30分

第2回 9月16日(土) 午後1時30分~5時30分

受講料: 2回分7,000円 ※当日1回の受講は4,000円です。

※対面、オンラインとも同額になります。

《講師よりのコメント》

「鎌倉新仏教とは何か」に関する研究は汗牛充棟たるものがあるが、その通説的パラダイムともいうべきものは、大きく二つある。「鎌倉旧・新仏教論」と「顕密体制論」である。「鎌倉旧・新仏教論」は井上光貞、家永三郎らによって形成された考えで、長い間通説的な立場を占めてきた。選択、専修、易行、反戒律、反密教、民衆救済などを指標とし、親鸞を鎌倉新仏教の典型とし、鎌倉新仏教の果たした役割に大きな光を当てた。他方の「顕密体制論」は1970年代に黒田俊雄によって提起された説である。「正統」と「異端」を指標にして、興福寺、延暦寺といったいわゆる旧仏教寺社勢力の果たした役割の大きさに光を当てた。この顕密体制論により、「鎌倉旧・新仏教論」は影響力を失い、旧仏教寺社勢力研究が盛んとなった。私は、いずれの説にも大きな問題があると考えている。講義では、従来のパラダイムを紹介しつつ、それらに代えて官僧・遁世僧体制という私見を提起する。そのうえで、日蓮を遁世僧として見直す。

《講師略歴》

松尾剛次(まつおけんじ):1954年生まれ 、山形大学名誉教授、早稲田大学講師、文学博士(東大) 東京大学特任教授、ロンドン大、ニューヨーク州立大、北京外大等で客員教授。
『仏教入門』(岩波ジュニア新書)、『日本仏教史入門』(平凡社新書)、『鎌倉新仏教の成立』(吉川弘文館)、『忍性』(ミネルバ書房)など多数の著書がある。

連続講座「歴史から考える日本仏教 ⑩-日本の偽書・偽文書を読み解く」 菊地大樹

講座 詳細

「日本の偽書・偽文書を読み解く」

会 場: 新宿 常円寺 祖師堂地階ホール

開催日: 2023年度 前期5回 ※原則第2火曜日 午後6時30分~8時30分

受講料: 1期分10,000円(半年間5回)※1回のみ聴講:3,000円

《講師よりのコメント》

この講座は、歴史学の立場から日本仏教のさまざまな側面を継続的に考えてゆくことを目指します。これは言い換えれば、教理文献に残された思想を、それが著された時代の文脈の中で立体的にとらえなおす営みに他なりません。しかもひとつの時代は系譜となって、前後に長く連なってもいます。そこで日蓮の生きた鎌倉時代をつねにどこかで射程に入れつつも、ときには原始古代にまでさかのぼり、また私たちの生きる近現代にも立ち戻って進んでいきたいと思います。
2023年度前期は、22年度のシンポジウム・対談「偽書が生み出した日本仏教」において総合的に議論した問題をさらに深め、個別に考えていきたいと思います。偽書・偽文書には歴史書から宗教文献まで幅広いジャンルが含まれます。それらは、誰かを騙すために作られたとは限りません。〈歴史〉といっても、それが指すイメージは中世・近世・近代で大きく異なります。その時代に合った語り方を探る中で、多くの偽書・偽文書が生まれました。以前から知られていた「竹内文書」や「東日流外三郡誌」に加え、最近は「椿井文書」にも大きな注目が集まっています。2000年代以降、このような偽書・偽文書を単なる好奇の対象としてではなく、歴史・文学・思想の問題として再考する学術研究が多く進められてきました。今回の講義では、毎回指定文献の読解を中心にしながら、真正な文書と偽書・偽文書の両方を具体的に検討していきたいと思います。なお指定文献は毎回受講者に対し、事前に事務局より配布いたします。

《講師略歴》

菊地大樹(きくちひろき):東京大学大学院修士課程修了。博士(文学)。現在、東京大学史料編纂所教授。著書に『中世仏教の原形と展開』(吉川弘文館、2007年)、『日本人と山の宗教』(講談社、2020年)、『吾妻鏡と鎌倉の仏教』(吉川弘文館、2023年)他。論文に「再考:持経者から日蓮へ」(『花野充道博士古稀記念論集』山喜房仏書林、2020年)、「環境と身体を結ぶもの」(『東アジア学術論集』11号、2023年)他。

(2023年度 前期5回)

第1講

偽書・偽文書とはなにか

4月11日

第2講

偽書・偽文書の生れる伝授の場

5月9日

第3講

中世「神話」と偽書・偽文書

6月6日

第4講

生まれ変わる近世の偽書・偽文書

7月11日

第5講

地域社会と偽書・偽文書

8月8日

連続講座「『法華経』『法華文句』講義」 菅野博史

講座 詳細

「『法華経』『法華文句』講義」

会 場: 新宿 常円寺 祖師堂3階会議室

開催日: 2023年度 前期6回 ※原則毎月最終月曜日 午後6時30分~8時30分

受講料: 1期分12,000円(半年間6回)※1回のみ聴講:3,000円

《講師よりのコメント》

今年度の前期も、『法華経』『法華文句』の講義を継続します。『法華文句』は『法華経』の随文釈義の注釈書ですので、「注釈書読みの経典知らず」にならないためには、『法華文句』を読むときには、常に『法華経』の本文を読まなければなりません。現在、『法華文句』の本文を地道に読む機会はほとんどないと思われますので、この講義では、『法華文句』の本文をすべて読んでいきます。もちろん同時に『法華経』も読んでいきます。受講生のご希望がある限り、地道に続けていきたいと思っています。いよいよ「譬喩品」の随文釈義の部分を学習していきます。
★教科書『法華文句』Ⅱ・Ⅲ(第三文明社、各冊2,530円)※コモンズ割引価格2,000円(受付にて)
★『法華経』はプリントを配布します

《講師略歴》

菅野博史(かんのひろし):1952年福島県生まれ。1976年東京大学文学部印度哲学印度文学科卒業。1984年東京大学大学院博士課程(印度哲学)単位取得退学。1994年文学博士(東京大学)。現在、創価大学文学部教授、(公財)東洋哲学研究所副所長。
専門は、仏教学、中国仏教思想史。著書に『一念三千とは何か―摩訶止観正修止観章―』(第三文明社)、『法華経入門』(岩波書店)、『中国法華思想の研究』(春秋社)、『南北朝・隋代の中国仏教思想研究』『法華経―永遠の菩薩道―』(大蔵出版)、『中国仏教の経典解釈と思想研究』(法藏館)など多数。訳書に『現代語訳 法華玄義』上・下(東洋哲学研究所)、『現代語訳 法華玄義釈籤』上・中(松森秀幸と共訳、東洋哲学研究所)など多数。

(2023年度 前期6回)

第1回

4月24日

第2回

5月29日

第3回

6月26日

第4回

7月31日

第5回

8月28日

第6回

9月25日

2022年度(後期)講座一覧

開講予定の講座 受講受付中です。

※下記日程は、開講決定時のものです。新型コロナウィルス等による日程変更については、上部の緊急連絡にてご確認ください。

連続講座「仏教哲学再考―『八宗綱要』を手掛かりに ⑤」 末木文美士

講座 詳細

「仏教哲学再考―『八宗綱要』を手掛かりに⑤」

会 場: オンライン講義&配信

開催日:第1回(第17講) 2022年11月19日(土) 午後4時30分~午後6時30分

第2回(第18講) 12月17日(土) 午後4時30分~午後6時30分

第3回(第19講) 2023年1月7日(土) 午後4時30分~午後6時30分

第4回(第20講) 2月11日(土) 午後4時30分~午後6時30分

受講料: 10,000円(全4回) ※当日1回の受講は3,000円です。

《講師よりのコメント》

凝然『八宗綱要』(1268)は、著者29歳の若書きであるが、750年経った今日でも、仏教教学の全般を見渡すには、本書に優るものはない。とは言え、形式的に主要概念を羅列しただけのところも多く、いわば暗記用の受験参考書のような味気ないところがある。それ故、手掛かりとしては便利であるが、それ以上の内実を求めるのは難しい。そこで、本講義では、講読という形ではなく、本書を手掛かりとしつつも、それに捉われずに、諸宗の教学を今日どのように受け止め、考えたらよいのか、応用的に問題を広げ、手探りして検討していきたい。前期の継続で、付録の禅と浄土を中心に取り上げ、ひとまず読み終わるようにしたいが、新規聴講も問題ない。下記テキストを用いるので、聴講者には毎回多少予習しておくことを求める。
★教科書:鎌田茂雄全訳注『八宗綱要』(講談社学術文庫)

《講師略歴》

末木文美士(すえき ふみひこ):1949 年山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。文学博士。現在、東京大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授、未来哲学研究所所長。専攻は仏教学、日本思想。著書に『日本仏教史 思想史としてのアプローチ』(新潮文庫)、『仏教 言葉の思想史』(岩波書店)、『日蓮入門 現世を撃つ思想』(ちくま新書)、『思想としての仏教入門』(トランスビュー)、『『碧巌録』を読む』(岩波現代文庫)、『草木成仏の思想』(サンガ)、『冥顕の哲学1、2』(ぷねうま舎)、『日本思想史』岩波新書、他多数。

シリーズ講座「法華仏教講座」 全5回

講座 詳細

「法華仏教講座」

「法華仏教講座」

会 場: 新宿 常円寺 祖師堂地階ホール(&オンライン実況)

開催日: 2022年度 後期5回 ※原則毎月1回土曜日 午後4時30分~6時30分 ※対面講義が不可の場合は、オンラインまたは動画配信講義に切替えて開催する予定です

受講料: 1期分10,000円(半年間5回)※1回のみ聴講:3,000円

《講師よりのコメント》

各回の講座概要は、こちらのパンフレットPDF法華コモンズ受講用パンフ2022年度 後期P.10~12にてご確認ください。

 

《講師略歴》

第1回

西山明仁(にしやまみょうにん):1978年新潟県三条市生まれ。立正大学大学院修士課程修了。現在、法華宗(陣門流)宗学研究所研究員、法華宗(陣門流)学林教授、法華コモンズスタッフ、『法華仏教研究』編集委員。「摩訶一日印の本尊論の一考察」(『法華仏教研究』第30号、2020年)、日蓮花押の母字の考察」(『法華仏教研究』第33号、2022年)等。

第2回

望月海慧(もちづきかいえ):1962年、山梨県生まれ。東京都立大学法学部法律学科卒業、立正大学大学院文学研究科博士課程単位取得、ハンブルク大学インド・チベット歴史文化研究所客員研究員、博士(文学、立正大学)。現在、身延山大学教授。
著書に、A Study of the Mahāsūtrasamuccaya of Dīpaṃkaraśrījñāna 2 vols., Minobusan University, 2001-4、『TĀRANĀTHAのDMU MA THEG MCHOG研究』(身延山大学チベット学研究室, 2011年)、『全訳 アティシャ 菩提道灯論』(起心書房、2015年)他。

第3回

松尾剛次(まつおけんじ):1954年長崎県生まれ。1981年東京大学博士課程を経て、山形大学へ着任。2019年山形大学を退職。山形大学名誉教授。著書に、『勧進と破壊の中世史』『中世律宗と死の文化』『新版 鎌倉新仏教の成立』(いすれも吉川弘文館)、『仏教入門』(岩波ジュニア新書)、『破戒と男色の仏教史』『葬式仏教の誕生』『知られざる親鸞』『日本仏教史入門』(いずれも平凡社新書)他。

第4回

菅原関道(すがわらかんどう):1959年、北海道生まれ。立正大学仏教学部宗学科卒。現在、興風談所所員。近年の論文に「『曾谷入道殿許御書』「娑婆世界衆生最初下種菩薩也」考」(『興風』32号)、「『法華取要抄』と『曾谷入道殿許御書』の比較考察」(『興風』33号)がある

第5回

花野充道(はなのじゅうどう):1950 年京都府生まれ。早稲田大学大学院文学部東洋哲学専攻博士課程修了。 博士(文学)。法華仏教研究会主宰。『法華仏教研究』編集長。法華コモンズ仏教学林教学委員。単著に『天台本覚思想と日蓮教学』(山喜房仏書林,2010年)、単編著に『シリーズ日蓮第1巻・法華経と日蓮』(春秋社,2014年)、『シリーズ日蓮第2巻・日蓮の思想とその展開』(春秋社、2014年)、『シリーズ日蓮第3巻・日蓮教団の成立と展開』(春秋社、2015年)、『花野充道博士古稀記念論文集-仏教思想の展開・日蓮仏教とその展開』(山喜房仏書林、2020年)。他、論文多数。





(2022年度 後期5回)

第1回

日蓮花押の母字について-西山明仁先生

10月29日

第2回

チベット仏教の他空説の源流について-望月海慧先生

11月26日

第3回

日蓮伝再考~日蓮神話を超えて-松尾剛次先生

12月24日

第4回

『観心本尊抄』から『曾谷入道殿許御書』へ-菅原関道先生

2023年1月28日

第5回

『大乗起信論』の本覚思想について-花野充道先生

3月25日

講座「震災転移論―末法の世に菩薩が来りて衆生を救う?」 磯前順一

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連続講座「震災転移論」―末法の世に菩薩が来りて衆生を救う?」全6回

会 場: オンライン講義&動画配信

開催日: 2022年度 後期全6回 ※ 午後6時30分~8時30分(講義1時間半、討議30分)

第1回 10 月3日(月) 傾聴論の限界 石巻 ―― 翻訳不能な起源
第2回 11 月14日(月) 差別論 京都 ―― 不可視の社会構造
第3階 12 月12 日(月) 死者論 南相馬 ―― 謎めいた他者の眼差し

第4回 2023年1 月16 日(月) 感染する不安 東京 ―― <転移/逆転移>論

第5回 2 月20 日(月) 幽霊のいない町 双葉 ―― 翻訳論

第6回 3 月13 日(月) 想いをかたちにして伝える いわき ―― 人間の主体化論

 

受講料: 1期分12,000円(全6回)※1回のみ聴講:3,000円

《講師よりのコメント》

2011年3月11日の東日本震災から十一年。しかし、一体、何が解決したというのか。廃炉への見通しがきかない福島第一原発。「おれは田舎に帰還してまだ四年。だから震災四年だ! 」しかも、戻るのは高齢者ばかり。そこに子供たちの笑顔はない。お酒を飲んでは、「生き残った自分が申し訳ない」と涙する老人たち。差別、搾取、そして否認。一体、誰のせいなのだろう。いつから、こんな無表情な人間になったのだろうと恥じ入る。
そんな私の心に浮かぶ光景は、 ≪籠のなかにいる鳥を眺める人間の風景≫。しかし、突然、その光景は一変する。《私が鳥、鳥が人間》。いつの間にか籠の中に私がいて、籠の外の巨大な鳥が私を眺めている、嗚呼。
話の舞台は、宮城県の津波で最大の被害に遭ったと言われる石巻市から始まり、仙台をへて、回復した常磐線に沿って南相馬、第一原発周辺の浪江町と双葉町へ、さらにはいわき湯本へと南下する。沢田研二の歌声に誘われて、声なき人々の魂の声に耳を傾けよう。死者たちの遺言どおり、希望の灯を点す最後の旅に出るのだ。人間が人間であるためには、人間だけでは生きていけない。果たして末法の世に菩薩は降臨して、衆生を救うのだろうか。信仰が問われるときである。
《参考書籍》
磯前順一『死者のざわめき 被災地信仰論』(河出書房新社、2015年)
磯前順一「Without You~あなたのいない世界を生きて」『別離の悲しみとともに生きる ー痛みを知ると
いうことー』(本願寺出版、2022年)

《講師略歴》

磯前順一(いそまえじゅんいち):1961年茨城県生まれ。宗教研究・批評理論。文学博士(東京大学)。東京大学助手、日本女子大学助教授を経て、現在、京都の国際日本文化研究センター教授。ロンドン大学、ハーバード大学、チューリヒ大学、チュービンゲン大学、ルール大学ボッフム、北京日本学研究センター、同志社大学などの客員教員や客員研究員を歴任する。単著に、東日本大震災後の東北地方を歩いたエッセイ『死者のざわめき 被災地信仰論』(河出書房新社、2015年) 、現代社会の心象風景を精神分析論の視点から読み解いた『昭和・平成精神史』(講談社、2019年)および『公共宗教論から謎めいた他者論へ』(春秋社、2022年10月刊行)など。現在、今回の講義の内容をもとにした著作『震災転移論』を、精神分析を中心に企画を立てる京都の出版社、木立の文庫から準備中。

講座「史実・僧侶妻帯世襲―ブッダ時代から現代まで」 大竹晋

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「史実・僧侶妻帯世襲―ブッダ時代から現代まで」

会 場: 新宿 常円寺 祖師堂地階ホール(&オンライン実況)

開催日: 2022年度 後期全6回 ※ 午後4時30分~6時30分(講義1時間半、討議30分)

第1回 10月22日(土) 海外篇・古代から現代までの僧侶妻帯世襲
第2回 11月5日(土) 日本篇Ⅰ・前近代の僧侶妻帯世襲――解禁はどう準備されたか
第3回12月3日(土) 日本篇Ⅱ・近現代の僧侶妻帯世襲――解禁はどう定着したか
第4回2023年1月14日(土) 日本篇Ⅲ・近現代の僧侶妻帯世襲――教義はどう変わったか:顕密篇
第5回2月4日(土) 日本篇Ⅳ・近現代の僧侶妻帯世襲――教義はどう変わったか:禅門篇
第6回3月4日(土) 日本篇Ⅴ・近現代の僧侶妻帯世襲――僧侶はどう変わったか

 

受講料: 1期分12,000円(全6回)※1回のみ聴講:3,000円

《講師よりのコメント》

今年は明治5年(1872)の太政官布告「自今僧侶肉食妻帯蓄髪等可為勝手事」から150年の節目の年にあたります。これにちなんで、僧侶妻帯世襲の歴史を振り返ることを企てました。
実のところ、僧侶妻帯世襲は仏教の歴史においてかならずしも珍しい現象ではありません。僧侶妻帯世襲が仏教教団によって公認されたのは近代の日本が最初ですが、公認されないまでも、海外や、前近代の日本においては僧侶妻帯世襲がしばしば確認されています。日本における僧侶妻帯世襲は、海外における僧侶妻帯世襲との比較のもとに、考察されるべきであると思われます。
従来、僧侶妻帯世襲については破戒という観点から批判的に言及されることが多かったのですが、そのようなことはかならずしも生産的な提言につながりません。日本においては、とりわけ、明治5年以降の僧侶妻帯世襲について、僧侶みずからが批判を恐れ、論題にすることを避ける傾向があるようですが、そのような傾向が続くならば、いずれ、世代交代が進むにつれ、資料の散逸、情報の忘失によって、史実の細部がわからなくなる恐れがあります。本講師はこのことを予期して、これまでできるかぎり資料の収集を心がけてきました。本講義においては、その一端を紹介することによって、あらためて江湖のかたがたに情報の提供を呼びかけたいと思います。講義の姿勢としては、民族学や文化人類学の姿勢に学びつつ、あくまでひとつの習俗として、僧侶妻帯世襲の史実を客観的に考察し、それによって将来に向けて生産的な提言を行なうことを目指します。

《講師略歴》

大竹 晋(おおたけすすむ):1974年岐阜県生まれ。筑波大学大学院哲学・思想研究科修了。博士(文学)。現在、宗教評論家、仏典翻訳家。専攻は大乗仏教。近年の著書に『宗祖に訊く――日本仏教十三宗 教えの違い総わかり』『大乗起信論成立問題の研究――『大乗起信論』は漢文仏教文献からのパッチワーク』『大乗非仏説をこえて――大乗仏教は何のためにあるのか』『セルフ授戒で仏教徒――五戒・八戒・菩薩戒、インド直伝実践マニュアル』(以上、国書刊行会)、『「悟り体験」を読む――大乗仏教で覚醒した人々』(新潮社)など、訳書に『現代語訳 最澄全集』全四巻(国書刊行会)などがある。

講座「『法華経』『法華文句』講義」 菅野博史

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「『法華経』『法華文句』講義」

先生

会 場: 新宿 常円寺 祖師堂地階ホール(&オンライン実況)

開催日: 2022年度 後期6回 ※原則最終 月曜日(12 月は別) 午後6 時30 分~8 時30 分

※対面講義が不可の場合は、オンラインまたは動画配信講義に切替えて開催する予定です。

受講料: 1期分12,000円(半年間6回)※1回のみ聴講:3,000円

《講師よりのコメント》

今年度の後期も、『法華経』『法華文句』の講義を継続します。『法華文句』は『法華経』の随文釈義の注釈書ですので、「注釈書読みの経典知らず」にならないためには、『法華文句』を読むときには、常に『法華経』の本文を読まなければなりません。現在、『法華文句』の本文を地道に読む機会はほとんどないと思われますので、この講義では、『法華文句』の本文をすべて読んでいます。もちろん同時に『法華経』も読んでいきます。受講生のご希望がある限り、地道に続けていきたいと思っています。後期も「方便品」の随文釈義の部分を学習していきます。
★教科書『法華文句』Ⅱ(第三文明社、各冊2,530円) ★コモンズ割引価格 2,000円(受付にて)
★『法華経』はプリントを配布します

《講師略歴》

菅野博史(かんのひろし):1952年福島県生まれ。1976年東京大学文学部印度哲学印度文学科卒業。1984年東京大学大学院博士課程(印度哲学)単位取得退学。1994年文学博士(東京大学)。現在、創価大学文学部教授、(公財)東洋哲学研究所副所長。専門は、仏教学、中国仏教思想史。著書に『一念三千とは何か―摩訶止観正修止観章―』(第三文明社)、『法華経入門』(岩波書店)、『中国法華思想の研究』(春秋社)、『南北朝・隋代の中国仏教思想研究』『法華経―永遠の菩薩道―』(大蔵出版)、『中国仏教の経典解釈と思想研究』(法蔵館)など多数。訳書に『現代語訳 法華玄義』上・下(東洋哲学研究所)、『現代語訳 法華玄義釈籤』上・中(松森秀幸と共訳、東洋哲学研究所)など多数。

(2022年度 後期6回)

第1回

10月24日

第2回

11月28日

第3回

12月19日

第4回

2023年1月30日

第5回

2月27日

第6回

3月27日

1日集中講座 ―講義と対談によるシンポジウム―佐藤弘夫×菊地大樹

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「偽書が生み出した日本仏教」

先生

会 場: 新宿 常円寺 祖師堂地階ホール(&オンライン実況)

開催日: 2022年11月12日(土) 午後1 時30 分~6 時30 分

受講料: 5,000円 ※対面、オンラインとも同額になります。

《講師よりのコメント》

日本中世とは膨大な偽書が作られた時代であり、新仏教もその思想風土の中から登場してきています。また新仏教の各宗祖が書き残されたもので最も数が多い「日蓮遺文」ですが、その真偽問題は今も教学上の大きな課題となっています。偽書はなぜ書かれ、広まっていったのか。
この一日集中講座では、佐藤弘夫先生と菊地大樹先生をお招きして、「偽書」をテーマに講義と討議をして頂き、たんなる個別文献の真偽論とは違った新たな文脈からその発生と意義について学んでいきます。

《講師略歴》

【講義1】佐藤弘夫(さとうひろお):1953年生まれ。東北大学大学院文学研究科教授。霊場・死生観・ヒトガミ・鎌倉仏教・ヤスクニなどをキーワードに、日本の思想と宗教を研究している。著書に、『神国日本』『日蓮「立正安国論」全訳注』(講談社学術文庫)、『死者の花嫁』(幻戯書房)、『鎌倉仏教』(ちくま学芸文庫)、『アマテラスの変貌』(法蔵館文庫)、『日本人と神』(講談社現代新書)などがある。

【講義2】菊地大樹(きくちひろき):1968年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。博士(文学)。現在、東京大学史料編纂所教授。著書に『中世仏教の原形と展開』(吉川弘文館、2007年)、『鎌倉仏教への道』(講談社、2011年)、『日本人と山の宗教』(講談社、2020年)他。論文に「再考:持経者から日蓮へ」(『花野充道博士古稀記念論集』山喜房仏書林、2020年)、「中世東国文化伝播論再考」(菊地大樹他編『寺社と社会の接点』高志書院、2021年)他。

【講義1】顕現する仏たち―「生身」と中世仏教 講師:佐藤弘夫 先生
【講義概要】
従来の鎌倉仏教研究では、遺文に混じる「偽書」は不純物とされ、いかにそれを取り除くかに多大な労力が費やされてきた。それが研究の精度向上に貢献したことに疑問の余地はないが、他方で祖師の思想を合理的な解釈の枠に当てはめて、それが本来持っていた生々しいエネルギーを切り捨ててきてしまったように思われる。
今回の講義では、「生身」をキーワードにして祖師たちの神秘体験に着目し、近代的な実証史学から見落とされてきた旺盛なパワーに満ち溢れた中世仏教像の再構築を試みるとともに、近代に至る広いコンテクストのなかで、それが持つ歴史的意義を探ってみたい。
〇参考文献:佐藤弘夫『偽書の精神史』講談社選書、2002年

 

【講義2】偽書と伝授―語りえぬものを語ること― 講師:菊地大樹 先生

【講義概要】
日本の歴史は作為の多い『日本書紀』から始まり、多くの偽書・偽文書を作り出していった。とくに、“正統”を判断するべき立場を欠いた中世日本の宗教にとって、そもそも「偽書」とはなんだったのか。今回は空海に仮託された『御遺告』や日蓮『不動愛染感見記』などを取りあげながら、中世宗教をあらたな段階に導く原動力として偽書を再評価したい。
〇参考文献:ルチア・ドルチェ「二元的原理の儀礼化―不動・愛染と力の秘像―」(同他編『儀礼の力―中世宗教の実践世界―』法蔵館、2010年)、菊地大樹「再考・持経者から日蓮へ―『虚空蔵求聞持法』と「不動愛染感見記」―」(花野充道博士古稀記念論文集刊行会編『仏教思想の展開』山喜房仏書林、2020年)。

 

≪進行予定≫
13:00 受付開始
13:30 開講 講座「偽書が生み出した日本仏教」 開講の挨拶と進行説明
13:40 講義Ⅰ 佐藤弘夫先生「顕現する仏たちー「生身」と中世仏教」(75分間)
14:55 休憩 (10分間)
15:05 講義Ⅱ 菊地大樹先生「偽書と伝授―語りえぬものを語ること―」(75分間)
16:20 休憩 (10分間)
16:30 質疑応答と対談 ※質疑は「質問用紙」と「口頭」で行う(120分間)
18:30 終了