令和8年6月13日(土)午後3時30分~、小西日遶氏による講座「八品門流門祖日隆の教団成立について」が、対面とオンライン配信によるハイブリッド形式で行われた。小西氏は、本講座について、「法華宗(本門流)は、千葉県茂原市の鷲山寺・静岡県沼津市の光長寺・京都府京都市の本能寺・兵庫県尼崎市の本興寺の四大本山で宗門を構成している。かかる四大本山が異なる建立事情にも関わらず同一宗門を形成しているのは、日隆の教学に傾倒した先師達の「本門八品上行所伝本因下種の南無妙法蓮華経を唱える信仰」が伝承されたためである。」と述べられて、四大本山をつなぐ紐帯である門流の祖、日隆の事績を明らかにすることが、本講座の目的であるとして、豊富な資料を紹介しながら詳細に説明してくださった。
はじめに、日隆の出自について、出身地や出家得度した僧侶と寺院などについて述べられた。その際、依拠した資料が漢文年間のもので近世の資料であり、今後さらに考究する余地があることを示された。
続けて、日隆の伯父にあたる日存、日道との出会いから、日存、日道、日隆の三師が京都の妙本寺を退出したあと、法華宗(陣門流)の門祖円光坊日陣のもとを訪ねていたこと、三師と妙蓮寺との関係、京都本能寺・尼崎本興寺の建立、について多くの資料を提示してご説明くださった。
次に日隆が布教した地域について、瀬戸内海の港のなかでも要港を選んで、その要港に拠点となる寺院を設けて布教を行っていたことを明らかにされた。また日隆を支えた富裕層である「有徳人」について、日隆の伝記書をもとに紹介し、これに関連して、兵庫津の北関を通行した船舶の詳細を記録した資料である『兵庫北関入船納帳』を紹介し、そこに記されている船主や船頭の名前が、日隆の伝記書や日隆が授けた漫荼羅本尊の授与者のなかに見られることを指摘し、日隆を支えた有徳人の状況について詳細に述べられた。かかる船舶の通行に関する資料について、当コモンズ教学委員の寺尾英智氏は、講義終了後の総評のなかで、「寺院や僧侶の歴史を研究する場合、寺院関係の資料をもとにする場合が多いが、小西氏は、船舶の資料にまで目を通され、多角的に分析をほどこされている」と小西氏の炯眼について、高く評価されていた。
最後に、日隆が定めた僧侶や信者に対する信心に関する法度、並びに本能寺・本興寺両寺に関する法度についてご説明をいただき、予定時間を超えた約二時間の重厚な講義を終了した。小西氏は、膨大な資料を緻密に検討し、そこから得た確かな知見を、我々に語りかけるように示してくださった。
講座終了後には質疑応答の時間が設けられ、法華宗本門流の研究者を中心に、各方面の方々から熱心な質問があり、一つ一つの質問に丁寧にお答えになられていた。
(スタッフ)