「法華仏教講座」第2回 「チベット仏教の他空説の源流について」報告

「法華仏教講座」第2回 「チベット仏教の他空説の源流について」報告
2022年11月26日 commons

令和4年11月26日(土)午後4時30分~、新宿・常圓寺祖師堂地階ホールを対面講義の会場として、身延山大学副学長・望月海慧教授による「チベット仏教の他空説の源流について」の講義が、Zoomオンライン聴講もできるハイブリッド型の講義として執り行われた。
今回、望月先生は、仏教の根本教理である「空」について、しかも極めて学習の難しいチベット仏教を視点に講じてくださった。
大変貴重な機会であることから、当日は、第一線で活躍する仏教研究者をはじめ、多くの聴講者が集った。

望月先生は、講義の最初に、チベット仏教の空性理解には、

①存在自身の自性を空とする「自空説」……ゲルク派のツォンカパ(1357〜1419)等の立場。
②仏性を除く他の存在を空とする「他空説」……チョナン派のトルポパ(1292〜1361)等の立場。

という、凡そ2系統があることをご教示くださった。
この構図を講義の起点としながら、望月先生は、以下、般若経典に見られる「空・無自性」や如来蔵経典に見られる「如来蔵・仏性」、また、中観学派と瑜伽行唯識への影響、あるいは比較考証など、実に様々な角度から掘り下げて論じてくださった。

今回のご講義は、仏教と基体説の問題などにも直結する重大な内容であり、望月先生は、その高度な知的世界を平易かつ体系的に解説してくださった。
素晴らしい内容に、講義終了後、聴講者から大きな拍手が送られた。仏教思想の本質を真正面から解析された画期的なご講義であった。(スタッフ)