講座「仏教哲学再考―『八宗綱要』を手掛かりに」⑤第1講 講義報告

講座「仏教哲学再考―『八宗綱要』を手掛かりに」⑤第1講 講義報告
2022年11月19日 commons

令和4年11月19日(土)、末木文美士先生による連続講座「仏教哲学再考―『八宗綱要』を手掛かりに⑤」後期第1回目が開催され、テキスト『八宗綱要』(講談社学術文庫)の付章「禅と浄土」(432頁)についての講義が行われました。

はじめに、禅宗の系譜について、初祖達磨から五祖弘忍に至り、弘忍の弟子である神秀と慧能が北宗(漸悟)と南宗(頓悟)に分かれていったことを説明されました。さらに、慧能の系統である馬祖(日常がそのまま悟り)と石頭(本来の自己を悟る)の思想が違うことを解説されました。

次に、座禅の精神安定・精神集中を目的とする「禅」から無念無想とする「達磨系の禅」に至った流れに加え、煩悩を払っていく神秀の考え方と、「本来無一物」とする慧能の考え方を示されました。

最後に、日本の「禅」を古代(神秀から最澄)・中世前期(総合仏教、兼修兼学時代)・中世後期(宗派化、五山文化)に分けて解説され、講義終了となりました。

今学期の予定として、次回の第2回目が「浄土宗」、第3回目が「鎌倉仏教の見直し」、最終回が「本覚思想と日蓮教学」となります。日本仏教を再認識するうえで大変参考になる講義内容です。新規聴講も充分について行けますので、皆様の聴講申し込みをお待ちしております。なお、本講座はリモート開催となっており、講義動画も受講者に配信し、期間内であれば何度でも見ることが可能です。詳細につきましては、「法華コモンズ」ホームページからご確認ください。(スタッフ)