講座「『法華経』『法華文句』講義」第17回講座報告

講座「『法華経』『法華文句』講義」第17回講座報告
2019年9月9日 commons

令和元年9月9日(月)18時30分から、5月休講した補講分として「『法華経』『法華文句』講義」講座(第17回)が行われました。今回は152頁5行目から、阿難尊者と羅睺羅尊者についての話です。
阿難尊者は、別名を「歓喜」また「無染」といいます。阿難は、悉達太子(釈尊)の父・浄飯王の弟である白飯王を父として、釈尊が成道した4月8日に生まれました(『大智度論』では、提婆達多とともに斛飯王の子)。その姿は端正にして、大衆はその声を聴き、その所作を見てみな「歓喜」しました。仏は、侍者を選ぶに五百人もの給仕志願者がいましたが、阿難が選ばれて、五百人もそれを歓喜します。仏も、言う前にその意を察するほど賢い阿難に歓喜して、阿難もまたズッシリ重い仏の鉢を歓喜しながら荷持ってお仕えします。
また、仏に従って龍宮に入り、天人龍女を見ても心に染着すること無く(「無染」)、天人龍神を歓喜させました。仏が滅度した後に、阿難も涅槃に入り、その後に阿育王は、阿難の塔を礼拝しました。増一阿含経には、阿難は時を知り、物事を明らかにして疑う所なく、記憶して忘れず、多くを聞き広く見て給仕に専念するのは、阿難が第一なり、とあります。教に約すると、「歓喜・阿難」は蔵教、「賢・阿難」は通教、「典蔵・阿難」は別教、「海・阿難」は円教、となるとされます。本文ではその他、本迹と観心についても定義しています。
次の羅睺羅尊者は、別名を「覆障」といいます。それは、太子が出家を望んだ時に父王に「後嗣ぎができれば許す」と言われ、太子は妻の耶輸陀羅のお腹を指差し「六年後に男子を生むべし」と予告し、母の胎内に六年間あってから生まれたため、「覆障」と言われます。しかし、仏が出家して後に、耶輸陀羅が妊娠したことが知れ渡ったので、人々は不倫の罪で罰せよと騒ぎました。耶輸陀羅は、「私に非あれば母子ともに滅しよう、そうでなければ天は無罪を証し給え」と言って、火の杭の中に身を投げます。しかし、杭は変じて池となり蓮華が身を助けたので、やっと王や人々の疑いは晴れました。また、浄飯王は孫が王位を嗣ぐことを望んだのですが、仏は羅睺羅を出家させて舎利弗の弟子して王位を失わせたため、覆障と言われます。
また、羅睺羅は修行時代に仏に会いに来た人々を「仏は留守だ」と妄語して会わせず、人々の障りとなります。仏は諌めるに、羅睺羅に水盆で足を洗わせ、三度その盆を覆して水をこぼし、「お前は覆って水のない盆のようだ。仏法の法水はなくなっている。実語して妄語してはならない」と諭しました。、その後に羅睺羅は「人のために」法を説く修行を続けて、やっと覚りを開きますが、仏に「私の法が尽きるまで、滅度してはならない」と言われます。そのため無余涅槃に入ることが出来なかったため、覆障と言われました。その他、講義では本文の約教、本迹、観心についても説明して、この章を終えられました。
次回は、『法華文句(一)』の161頁4行目からになります。なお、本年度後期も本講義は継続していきますので、受講継続のお申込みをお早めにお願いいたします。(文責・スタッフ)