講座「日蓮聖人のご真蹟を拝す」第5回講義報告

講座「日蓮聖人のご真蹟を拝す」第5回講義報告
2017年8月26日 commons

去る8月26日(土)、山上弘道先生の講座「日蓮聖人のご真蹟を拝す」が開催されました。

第五講となる今回は「模写・偽作を見抜く」をテーマに、御遺文の模写や偽作がどのように作られて来たのかを詳しく御講義頂きました。

はじめに「第1、模写本について」では、①「本物から偽物を作る」例として『土木殿御返事』『聖人御難事』『治病大小権実違目』などを取り上げ、そっくりの現存の御真筆と模写した偽物を詳しく比較検討、「この例は真蹟があるので模写がわかるが、真蹟がなければ偽物と見抜けない」ことを指摘。次に②「模写が不現存の真蹟を伝える」では『大日経義釈要文』『庵室修復書』などを例として、真蹟はないものの字が似ているため模写した可能性から、真蹟の実在を類推できるケースを紹介されました。

次に「第2、偽物を作り上げる」では、①「見るからに偽物とわかるのの」として、『さだしげ殿御返事』『観心本尊得意抄』などを取り上げ、最後に「第3、相剥について―偽作・模写でない双子の文書」として、一枚の紙を二つに剥いで二枚にする相剥ぎの技術によって作られた例を、『法華証明抄』の冒頭一紙を取り上げて説明されました。

次回は、いよいよ最後の第六講「書く遺文集の誤読を糺す」です。初めての方もぜひご聴講下さい。

(文責 編集部)