令和4年8月6日(土)、末木文美士先生による連続講座「仏教哲学再考―『八宗綱要』を手掛かりに④」前期第4回目が開催され、第八章「真言宗」(テキスト407頁)を掘り下げた講義となりました。
はじめに、「金剛界曼荼羅」と「胎蔵界曼荼羅」について、『岩波仏教辞典』などの資料を引用して説明されました。次に、空海の即身成仏思想のベースとなる六大無礙(悟りの原理である六大・図像化された四種曼荼羅・実現体得のために行う三密)と、四種法身(自性身・受用身・変化身・等流身)について詳細に解説されました。最後に、空海から覚鑁への展開について触れられ、講義終了となりました。
今回の講座で最も重要なポイントは、凝然の真言宗解釈は、「真如への還元」や「顕密一致」が見られることから、空海の思想というよりは安然の影響がつよいということでした。
また、8月に出版された末木先生著作『禅の中世』(臨川書店)に前期講座の内容(中世仏教の形成・『釈摩訶衍論』の流伝・仏教と身体性・法身説法)が含まれていますので、一読をおすすめします。
前期講座は今回で終了となりましたが、11月19日(土)から後期講座を予定しております。内容は「禅と浄土」です。皆様、聴講の申し込みをお待ちしております。なお、本講座はリモート開催となっており、講義動画も受講者に配信し、期間内であれば何度でもみることが可能です。詳細につきましては、「法華コモンズ」ホームページからご確認ください。(スタッフ)