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令和6年1月10日(水)、末木文美士先生による講座「仏教哲学再考②―『大乗起信論』を手掛かりにー」第四回目が開催された。今回の講座は、『大乗起信論』の構造とその問題とについての講義となった。

はじめに先生は、「『起信論』を中心に据えて読まれるようになったのは江戸時代であり、東アジア仏教(日本仏教)の前提となっていたわけではない。東アジア仏教(日本仏教)を如来蔵仏教とするのは無理がある」と指摘された。さらに、「『起信論』には如来蔵という言葉を使っている部分もあるが、中心となっている概念は真如である」とし、『起信論』はその章ごとによって使われる概念が違うことを説明された。また、真如論は「華厳系と『釈摩訶衍論』をベースとして『起信論』を理解する系譜に分かれる」と示された。

次に、『起信論』の構造(宇井伯寿『大乗起信論』(岩波文庫)と自筆のノートを参照)と、『釈摩訶衍論』の構造(早川道雄『釈摩訶衍論の新研究』を参照)を解説された。

最後に先生は、「『起信論』は一元的な理論ではなく、重層化されており、大別すれば言語論(認識論)と存在論・救済論(迷いと悟り)の二重性がみられる」、「無明は重要な概念であるが、『起信論』では十分に議論されず、重視していない」と『起信論』の問題点を指摘され、講義終了となった。

次回は、4月3日(水)となります。新規聴講もまったく問題ありません。末木先生は、聴講者の質疑応答にも分かりやすく対応して下さいます。皆様の聴講申し込みをお待ちしております。なお、本講座はリモート開催となっており、講義動画も受講者に配信し、期間内であれば何度でも見ることが可能です。詳細につきましては、「法華コモンズ」ホームページからご確認ください。(スタッフ)

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