11月5日(土)、大竹晋先生の連続講座「史実・僧侶妻帯世襲―ブッダ時代から現代まで」の第2回「日本篇Ⅰ・前近代の僧侶妻帯世襲――解禁はどう準備されたか」が行われました。
今回は諸宗における宗祖の僧侶妻帯世襲に対する記述と、近代以前の僧侶妻帯と処罰、日本での僧侶妻帯世襲の背景などを講義していただきました。
最初に法相宗、律宗、華厳宗、天台宗、真言宗、真言律宗、浄土宗、時宗、融通念仏宗、日蓮宗、日蓮正宗、臨済宗、曹洞宗、黄檗宗と非常に幅広く各宗祖の記述を紹介していただき、一部の留保はありつつも宗祖は僧侶妻帯世襲に肯定的とはいえない、ということを説明していただきました。
また国家の承認を受けた管僧の妻帯自体は遅くとも9世紀頃には存在したこと、その背景として当時は発心からではなく国家の施策として出家が行われたことが原因の一つとして挙げられました。また私度僧についても妻帯の記述が多くあり、これも発心からではなく渡世の手段としての出家が行われたからであり、文献によっては人口の三分の二が私度僧であるという記述が存在していたということでした。
その後、僧侶妻帯世襲の各時代の処罰について解説していただき、また日本においては近世に幼年出家の習慣が発生して、本人の意思と関係ない出家による僧侶の素質低下と、職業経験がないゆえに実質的に還俗が不可能であったことが、近代の僧侶妻帯世襲の準備になったと解説して頂きました。
次回は、12月3日に第3回「日本篇Ⅱ・近現代の僧侶妻帯世襲――解禁はどう定着したか」が開講されます。みなさまの受講をお待ちしております。(スタッフ)