菅野先生の第3講(12月分)の講座が常圓寺様にて12月20日に行われました。
今回は、略開三顕一の後半、三止三請の初めの請からの講義でした。
三止三請の意義について天台大師は、仏は三周の説法の得益が前後同じでないことを知っているので、
三度止めて、三度講うのを待ったのであると解釈している。
長行では、初めの請において舎利弗は、二智(権・実)の疑いを述べ、己と衆の請を述べる。
偈頌においては、実智を疑うを頌し、權智を疑うを頌している。また、三乗・四衆の疑いが有ることを明かしている。
この三乗の疑いについて天台は、「及求涅槃者」の「及」の一字に菩薩の義があるという解釈をいている。
次いで、身子の疑いを明かし、仏子の疑いを明かしている。そして最後にまとめて同じ疑い請するを明かしている。
そして、仏の第二止、舎利弗の第二請を経て、仏の第三止、舎利弗の第三請が説かれている。
(妙法蓮華経 文句 巻第四上)
そして、「爾時世尊告舎利弗、汝已慇懃三請」より下の七品半(授学無学人記品まで)の
「広開三顕一」についての解説がなされました。
[三周説法 図解]
法説周—–法 説—–上根(舎利弗)—–方便品第二
領解 —–譬喩品第三
述成
授記
譬説周—–譬喩説—–中根(四大声聞)—譬喩品第三
領解 —–信解品第四
述成 —–薬草喩品第五
授記 —–授記品第六
因縁説周—因縁説—–下根(他の声聞)—化城喩品第七
領解 —–五百弟子受記品第八
述成 —–五百弟子受記品第八
授記 —–五百弟子受記品第八・授学無学人記品第九
〈以下、講義メモより引用〉
中国では、方便品第二から授学無学人記品第九までを、
一仏乗思想とそれに基づく声聞授記を中心とする緊密な関係を有する物語の展開として捉え、それを三周説法として解釈した。
釈尊は、三乗方便・一乗真実(開三顕一)の思想を、上中下の三段階の機根の声聞に対応して、
それぞれ法、譬喩、宿世因縁を説くという仕方で三回にわたって説法する。
これをそれぞれ法説周、譬説周、因縁説周の三周説法という。
周とはサイクルの意で、正説(法説、譬説、因縁説)、領解、述成、授記が1サイクルとなっているものをいう。
法説、譬説、因縁説について言えば、上根の声聞である舎利弗に対しては方便品第二において法説が与えられ、
中根の声聞である須菩提・迦旃延・迦葉・目揵連の四大声聞に対しては譬喩品第三において譬喩説(三車火宅の譬喩)が与えられ、
その他の下根の声聞たちに対しては化城喩品第七において宿世因縁説(大通智勝仏の物語)が与えられる。
釈尊が舎利弗に対して、三乗方便・一乗真実の思想を理論的に説明したが、これを法説という。
釈尊は法説を領解(理解の意味)し、譬喩品第三において成仏の確信を抱き、釈尊によって授記(将来の成仏を約束すること)される。
しかし、法説を理解できたのは舎利弗だけであったので、舎利弗はその他の声聞のために、
より分かりやすく三乗方便・一乗真実を説いてほしいと釈尊に願った。
釈尊はその願いに応えて三車火宅の譬喩を説いた(譬喩説)のである。
信解品第四において、譬喩説を領解した四大声聞は、これまで大乗を真剣に求めなかった自分たちの態度を厳しく自己批判した後に、
自分たちの理解を長者窮子の譬喩に仮託して示した。
薬草喩品第五において、釈尊は四大声聞の領解が正しいことを認め、三草二木の譬喩を説いた。
これを述成というが、仏が弟子の理解をそのまま承認することを意味する。
四大声聞が一乗真実を正しく理解したので、釈尊は授記品第六において四大声聞に授記した。
しかし、譬喩説を理解できないその他の声聞がまだいたので、
釈尊は、化城喩品第七において、はるか過去の大通智勝仏の物語を説いた(宿世因縁説)。
この過去の物語によって、声聞はこの世ではじめて釈尊の弟子となったのではなく、
三千塵点劫の昔から深い師弟の関係のあったことに目覚め、一乗真実を理解することができたのである。
次に、その他の声聞も一乗真実を理解できたので、授記される。
五百弟子受記品第八では、富楼那と千二百の阿羅漢が授記され、
授学無学人記品第九においては、阿難、羅睺羅と二千人の有学・無学(=阿羅漢)の声聞への授記がなされる。
今回は、テキスト452P最終行まで
次回は、1月31日(日)18:30~を予定しております。