講座②「日蓮教学史と諸問題」第12回講座報告

講座②「日蓮教学史と諸問題」第12回講座報告
2017年3月18日 commons
平成29年3月18日(土)、新宿常円寺に於きまして、布施義高先生の一年にわたった講座「日蓮教学史と諸問題」の最終回となる講義が行われました。
今回のテーマは「日蓮教学史と天台教学」ということで、日蓮聖人教学と天台教学の関わりについて、核心となる問題をご講義頂きました。
まずは、基本となる日蓮聖人と天台大師の教学の位置づけをご教授頂きました。
日蓮聖人は三国四師相承の系譜として釈尊、天台、伝教の流れを汲んだ法華経の導師であると自らを位置づけ、天台教学を基礎として教学を形成されていきました。
そして、日蓮聖人の信認識では、天台大師は本門重視の思想を本意(内鑑冷然)としながらも、時・機・付属などによって迹門中心の法華経を弘められたこと。
日蓮聖人が末法に弘められた本門中心の法華経は、天台大師が弘め残された法門を発揮する意識に基づいており、そうした視点から日蓮聖人が天台三大部本末の心底を掬い取る読み方をされている面があることを、ポイントとして教えて頂きました。
次に、日本・中国に於ける本迹論についてご講義くださり、迹体本用や久近本迹の概念を詳細に解説頂きました。ここでの『法華玄義』『摩訶止観輔行伝弘決』の解釈や理同事異についての解説がとても勉強になりました。更に、日本天台の本迹観では、特に中古天台の傾向についてご教授頂きました。
最後は、日蓮教学史と天台教学の問題について講義して下さり、中国天台や日本天台と日蓮聖人の教学の位置づけを見極めることの重要性について学ぶことができました。
一年間の講義の内容は各回どれも素晴らしく、充実した時間を過ごすことができました。
教壇に立って頂いた布施先生、講義に参加して頂いた生徒の皆様ありがとうございました。
(鈴木佑正)