平成28年12月24日(土)、世間ではクリスマス・イヴで賑わう当日、新宿・常円寺様で都守基一先生の『日蓮聖人遺文研究』講座第3回目が開催されました。年末の慌ただしい中でも、9名の受講生が参加されました。ご参加いただいた方、ありがとうございました。
今回のテーマは、前回に引き続き「『立正安国論』の書誌と内容」で、2回目となります。今回もカラー写真が豊富な20ページにわたる資料が配布され、講義はその資料に沿って進められました。項目は以下の通りです。
1.『立正安国論』の諸本:
宗祖真筆と直弟写本を、写真入りの資料を使って、それぞれの特徴を説明してくださいました。
2.『立正安国論』の諸問題: ①「天台沙門」の署名の問題 ②本圀寺蔵・広本の問題 (『立正安国論(広本)』の偽書説)
拝聴していて、やはり興味を引いたのは本圀寺蔵の『立正安国論(広本)』がご真蹟かどうか、という問題です。私は配布資料に掲載されている広本の御真蹟写真と、別ページに掲載されている、広本とほぼ同時期に書かれた『秀句十勝鈔』、『龍泉寺申状』の御真蹟写真とを比較してみましたが、その三書の書体は驚くほど似ていると感じました。この問題に興味のある方は、どうか真蹟写真集で、上記三書を比較してみてください。(『日蓮聖人真蹟集成』第1巻48ページと、同3巻188ページ、および同巻110ページをご参照ください)。「なぜ偽書説が出て来るのか」、疑問に感じる方も出てくると思います。
さて今回も講義終了後に、15分ほど活発な質疑応答があり、結局予定時間を10分も過ぎる熱の入った講義となりました。時間があっという間に過ぎました。
次回も引き続き『立正安国論』についての講義になります。個別の参加でも可能ですので、多くの方にご参加いただきたいと思います。
(文責・編集部)