講座②「日蓮教学史と諸問題」第6回講座報告

講座②「日蓮教学史と諸問題」第6回講座報告
2016年9月17日 commons
朝夕も過ごしやすくなりお彼岸を来週に迎える9月17日、新宿・常圓寺にて、布施先生による「日蓮教学史と諸問題」の第6回講義が行われました。
今回のテーマは「慶林坊日隆師と日隆門流の教学」でした。
布施先生の講義は、その時々の目的や制限時間、情報量、そして聴講者への便宜を考え、都度、板書や資料の用い方のバランスを変えているそうです。また、その際、聴講者側が受信する視覚情報と聴覚情報、更にその統合力を常に意識されているとのこと。レジュメも、講義を糸口にしながら繰り返し目を通すことによって、より深い知識が習得できるよう配慮されています。本当にありがたい限りです。
今回は、特に情報量が多いことから、布施先生は主にレジュメの概観を中心に講義を進められました。
まず、日隆師の略伝と、「本門八品上行所伝本因下種の南無妙法蓮華経」、そして、「約時久近本迹→久近・在末判(神力本因下種論)。理同事異、法身通同」という教学の基本を確認され、ついで、近現代の日隆門流の展開に至るまでの門流史・教学史をダイジェスト版で教えて下さいました。5分間ほどの休憩の後、後半は、日隆師の教学とその周辺に関する様々な研究課題に触れられました。本迹実相勝劣論の概念。教相と観心の見方。題目論の特徴。法体論の捉えられ方。本因=上行、本果=釈尊とする一仏二名や、本因下種論について。本迹の法身と実相についての記述をめぐる問題、などです。
講義全般を通して、日隆師の教学は、室町時代以降、日隆門流のみならず、他門流の教学にも、時に正的に、時に反的に、甚大な影響を与えてきたこと、今日においても非常に多くの研究者から様々なアプローチをもって研究されていることが非常によく分かりました。
また、講義後半はかなり専門的に立ち入った内容でしたが、初学者にとりましても耳に入れておくだけで大変価値のある情報の連続でした。
講義終了後は質問の時間を設けて頂き、どんな質問にも丁寧に答えて頂けます。
布施先生の講義は後期も続きますので是非ご参加下さい。
次回の講義は10月22日を予定しています。皆様の参加をお待ちしています。