講座③「日蓮教学と中古天台教学の検討」第4回講座報告

講座③「日蓮教学と中古天台教学の検討」第4回講座報告
2016年7月30日 commons

平成28年7月30日、花野充道先生の第4回目の講義が行われました。

天台大師の五時八教の説明から始められ、化導(説教)の次第が五時、化導の方法が
頓・漸・秘密・不定の四教、教法の内容が蔵・通・別・円の四教であるから、教法の
優劣としては円教が最高である。日蓮聖人が権実雑乱の元凶として批判された「円体
無殊」は、実は中古天台の教説ではなく、天台大師自身の教説である、と説明されま
した。

天台仏教によれば、円教所説の円理は、円融相即・一即一切であるから、三諦円融・
一心三観・一念三千であり、諸法即実相・方便即真実・本迹不二(本迹不思議一)と
なり、煩悩即菩提・生死即涅槃・凡聖不二・当体全是となる、と述べられました。対
して日蓮仏教は、差別勝劣の事の法門であるから、凡聖差別勝劣・本迹差別勝劣であ
り、末法愚悪の衆生は主師親の本仏を信仰し、本門の肝心の妙法を受持(唱題)する
ことによって、妙法の当体蓮華仏となる(名字即の即身成仏を遂げる)、と述べらま
した。

天台仏教は絶待妙に立つので本迹不二となるが、日蓮仏教は相待妙に立つので本迹勝
劣となる。中国の原始天台は、本迹は殊なりと雖も不思議一であったが、日本の中古
天台は、本迹は勝劣たりと雖も究極は不二(一致)である、というところにその違い
がある。日蓮教団における本迹一致・勝劣の論争は、天台教学史をしっかりと学ばな
いと理解できない、と結ばれました。

次回は、中国から日本にいたる天台教学史をふまえて、日蓮教団における勝劣派と一
致派の対立・分裂がどのようにして起こったのかをお話してくださるそうです。皆さ
まのご聴講をお待ちしています。