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12月3日(土)、大竹晋先生の連続講座「史実・僧侶妻帯世襲―ブッダ時代から現代まで」の第3回「日本篇Ⅱ・近現代の僧侶妻帯世襲――解禁はどう定着したか」が行われました。

日本での僧侶妻帯世襲の解禁や論争の経緯、諸宗への影響などを開設していただきました。

まず日本では明治五年に「太政官布告第百三十三号」によって僧侶妻帯が国法の禁止対象から除外されました。ただし明治十年に諸宗の管長が連名で提出した「僧風釐整の建言」により明治十一年、国は諸宗が僧侶妻帯世襲を宗規の禁止対象とすることを許可しました。その後大正九年に「太政官布告第百三十三号」は廃止、現代において僧侶妻帯世襲が「国から許可されている」と言うのは誤解であり。「宗から許可されています」と言うのが妥当であると解説していただきました。

また当時の論争での僧侶妻帯世襲の欠点や利点について説明していただきましたが、驚いたのが僧侶妻帯世襲の利点として「一 在家の婦女安心して寺院に接近す」「二 在家の婦女の夫及び父母の疑念を生ぜず」(栗山泰音『僧侶家族論』(大正六年))などが挙げられており、当時は寺院が「誰でも安心して来られる場所」として認識されていないほど治安が良いとは言えなかったこと、そこから一種の社会問題としても僧侶妻帯世襲が扱われたことがうかがい知れました。

その後僧侶妻帯世襲の容認に伴い、時代が下るにつれて妻帯だけではなくそれまで曖昧な立場であった寺族についても諸宗で宗憲宗規で明記されるようになり、住職候補者(事実上、実子)を登録する制度も同じく明記されるようになることで 僧侶妻帯世襲が明文化されたことを説明していただきました。

次回は、1月14日に第4回「日本篇Ⅲ・近現代の僧侶妻帯世襲――教義はどう変わったか:顕密篇 」が開講されます。みなさまの受講をお待ちしております。(スタッフ)
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