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7月30日(土)に、新宿常円寺に於きまして、布施義高先生の「日蓮教学史と諸問題」の第4回目の講義が行われました。
今回は、「玄妙阿闍梨日什師と日什門流の教学」をテーマとして、ご講義を頂きました。
玄妙日什師は、現在の顕本法華宗、日蓮宗什師会の門祖であり、その系統は日什門流と呼ばれます。
また、近現代の日蓮門下の動向の中で特筆大書される「日蓮主義」のうねりの一翼を担った有名な本多日生師は、この日什門流の教学を根本とされています。
今回は、日什師、ならびに日什門流の江戸時代末までの教学史の流れを、本迹論を中心に学んでいきました。
講義では、日什師の重要な遺著であります 「諷誦文(諷誦章)」や置文を取り上げ、日什師の思想の根幹に「経巻相承直授日蓮」「一部修行・本迹勝劣」(一部修行、本正迹傍、従浅至深)という特徴があること、また、信心正因説や、果敢な実践面(折伏、国家諫暁など)に教学史上の注視すべきポイントがあることを学びました。
そして、日什上人以降の門流の中でも重要な先師を取り上げ、一人づつ丁寧にご説明頂きました。従浅至深の本勝迹劣の伝統が貫かれつつ、教学をあらゆる角度から検討し詳細に論理化されていく歴史を解説されました。大局的に見た場合の日什門流教学史の特色を鋭く読み解かれていました。
講義終盤の「諸問題の検討」では、「諷誦文(諷誦章)」や置文の内容を再検討され、日什師と日陣師の 関わり、中正日存師や本昌日達師の本迹論の基部、合掌日受師や永昌日鑑師の本迹論・応身顕本論・十界相続事常住説・仏界縁起説などについて講じられました。専門用語が飛び交う非常にレベルの高い内容でありましたが、従来の研究を踏まえながらも、より掘り下げた論及を試みられたとのことです。
印象的だったのは、布施先生は、表面的な言葉に振り回されるのではなく、その中身、思想内容そのものが何を意味しているかを吟味していく事が大切であると仰られていた点です。
なお、講義冒頭に布施先生は「私の講義に関しては、受講者の皆様ができるだけ講義内容を自分のものにできるよう、録音を認めます。このルールは私の講義限定です。使用目的を、自身の学習のためだ けに限定するという条件つきですが。使用者もこの講義の受講者限定です。向学心旺盛な受講者には、繰り返し聞いて学習に役立ててもらえれば本望だと考えているからです。ただし、講義・講演にも著作権がつきます。他者(受講者でない方)への無断の音源譲渡、もしくは私の意図しない公開は堅くこれを禁じます」と述べられました。仏教界の未来の担い手(受講者)のために最大限役立ちたいという布施先生の熱い思いを垣間見た気がしました。
教学はもちろんの事、私達が学ぶ上での大切な心得も学ぶことができました。
次回は、8月20日に第5回目の講義が行われます。
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