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令和7年度最初の菅野博史先生「『法華経』『法華文句』講義」前期1回が、去る4月28日(月)午後6時半より常円寺祖師堂地階ホールにて開催されました。通算83回となりますが、詳細に『法華経』とその注釈書である『法華文句』を読み解いていく講義ですので、今回も経文箇所は「信解品第四」の長行で「長者窮子の譬え」のところです。
今回の経文は、何も知らずに長者の父に雇われて、日々糞ሽを払う汚れた仕事に励む息子を窓からみた父は、自ら豪華な服からオンボロの服に着替えて息子に近づき、「若いの、良くやっているな、他の連中より見どころがあるから労賃を増やそう。他所へは行かずに、これからは私の子供だと思って働きなさい」と述べる所までです。
これを解釈する『文句』テキストは、755頁11行目の「「即脱瓔珞」の下は、第三に是れ先に須らく三車の稀有を歎ずべきことを知るを領するなり。」からになります。
その解釈内容ですが、今回はアビダルマ仏教である蔵教の悟りとなる「三十四心断結成道」と、その修行法となる七科目で立てられた三十七の道で「三十七道品」によって、長者窮子の物語が解明されています。いわゆる釈迦の悟りと修行法です。この「三十七道品」がわからないと何の譬喩かもわかりませんので、レジュメの[4]解説から、この七科目の説明を引いておきます。
(1)四念住(四念処)…身念住(体を不浄と観る)・受念住(受を苦と観る)・心念住(心を無常と観る)・法念住(法を無我と観る)。(2)四正断(四正勤)…已生悪断(生じた悪は断じる)・未生悪令不生(悪は生じさせない努力)・未生善令生(善は生ずるよう努力)・已生善令増長(生じた善は増すよう努力)。(3)四神足(四如意足)…欲(優れた瞑想を願う)・精進(優れた瞑想への努力)・念(優れた瞑想を得る集中)・思惟(優れた瞑想への智的観察)。(4)五根……信根・精進根・念根・定根・慧根。(5)五力……信力・精進力・念力・定力・慧力。(6)七覚支……念・択法・精進・喜・軽安・定・捨。(7)八正道……正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定。
『文句』は、こうした瞑想と修行の七科目三十七道の実践が、窮子による「除糞の様相」に譬えられており、やがて窮子が父(仏)の全財産を受け継ぐ(成道する)という、悟りに至る物語になっていることを明かしています。
菅野先生の講義は、科文では「五力に譬う」の「五つの過失がないのは、五力である」と述べられている段落で終了して、次回の5/26(月)講義は科文で「八正道を譬う」から始まります。『文句(Ⅲ)』の761頁6行目の「「即時長者更与作字名之為児」とは八正を得て見道の中に入り~」からです。ぜひ受講いただき、信解品の譬喩の魅力味わって下さい。(担当スタッフ)

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