平成28年10月22日(土)に、新宿常円寺において、布施義高先生の「日蓮教学史と諸問題」の第7回目の講義がおこなわれました。
10月からは法華コモンズも後期に入り、受講者の皆様も気を引き締めなおして講義に取り組んでいる様子でした。
10月からは法華コモンズも後期に入り、受講者の皆様も気を引き締めなおして講義に取り組んでいる様子でした。
今回は、「常不軽院日真師と日真門流教学」をテーマにご講義を頂きました。
常不軽院日真師は、室町時代を代表する勝劣派の学匠で、法華宗(真門流)の門祖と仰がれています。
講義は、「一部修行・本勝迹劣・唯寿量・本果実証・事一念三千・是好良薬の南無妙法蓮華経」の宣揚、「寿量一文正明本迹」(『法華文句記』巻第一)の文の重視といった、日真門流の教学を貫く特色を確認するところから始まりました。次いで、日真師の略伝や著作、そして、その中から見えてくる思想の特徴、その後の門流の教学史的な展開、本迹実相勝劣論や本果下種論に関連する諸問題などを細かく説明され、また、現代までの日真師に関する研究を多方面にわたって紹介されるな ど、今回も非常に内容の濃い2時間でした。
常不軽院日真師は、室町時代を代表する勝劣派の学匠で、法華宗(真門流)の門祖と仰がれています。
講義は、「一部修行・本勝迹劣・唯寿量・本果実証・事一念三千・是好良薬の南無妙法蓮華経」の宣揚、「寿量一文正明本迹」(『法華文句記』巻第一)の文の重視といった、日真門流の教学を貫く特色を確認するところから始まりました。次いで、日真師の略伝や著作、そして、その中から見えてくる思想の特徴、その後の門流の教学史的な展開、本迹実相勝劣論や本果下種論に関連する諸問題などを細かく説明され、また、現代までの日真師に関する研究を多方面にわたって紹介されるな ど、今回も非常に内容の濃い2時間でした。
興味深かったのは、先生が、日真師の教学中の特徴的な側面として、日蓮聖人遺文を最重要視した上で、中国天台教学文献を縦横無尽に引用しながら宗義の鮮明を目指されている点を指摘され、その中で本迹実相勝劣の立場が明確に打ち出されていること、「又本門雖本但寿量一文。正明本迹余亦義立。」(『文句記』巻第一)の文を宗祖日蓮聖人の寿量正意、本迹勝劣の立場との関わりから非常にシンボリックに引用されている様相などを、細かに検証されていたことです。
また、日真師の生涯と思想の中で重要な論争として「護持此経論」(=曦真問答)があることを学びました。八品派の本能寺日曦師との法華経涌出品 の「護持此経」解釈をめぐっての問答です。 日真師の主張の基本は、「説必次第の時は本門の題目の説くところは寿量品に限り涌出品には説かず。然りと雖も寿量・神力の上行付嘱の上より之を明さば本門八品尤も神妙の義」というもので、布施先生は、護持此経論が勝劣派の中で論争された本迹論争の一形態であったと考えられること、これからの検討課題も多く、今後、諸資料の吟味に基づくより深い研究の進展が期されていると御教示下さいました。
今回の講義では、レジュメのみならず、今後更なる知見を深めていくための重要資料として他に5種類のコピーが配布されました。中には従前殆ど知られていない貴重な資料も含まれており、先生の厚意に、受講者の間から感嘆の声があがっていました。
本講座は、毎 回、重要な課題をテーマ別に深く掘り下げて論じて下さいます。これまでの講義を受けていない方にも参加・受講しやすい配慮がなされた内容となっております。
次回は、11月12日(土)に「日興門流教学の概観」をテーマとして講義が行われます。次回は特別講師として菅原関道先生(興風談所)をお招きする予定です。布施先生は「当初は私が講義させて頂く予定でしたが、開講前の想定をも超えて、受講者のレベルや意識が極めて高く、中には日興門流研究専攻の先生や研究者が複数名いらっしゃる。意識の高い受講者皆様にも、法華コモンズの講座は素晴らしいと喜んで頂けるように。より正確に、より専門的に日興門流の教学を学習して頂けるように」と配慮され、菅原先生に次回 講義をお引き受け頂いたとのことです。スペシャリストによる信頼度抜群の貴重な講義が拝聴できる絶好の機会と存じます。より多くの皆様のご参加をお待ちしております。