平成28年10月24日(月)菅野博史先生の「『法華玄義』講義」の後期講座の第1回(前期から7回目)が行われました。前期の方にはほぼリピートしていただき、また新規の申し込みもあり、受講の皆様には心より御礼申し上げます。
今回は「七番共解」の「四悉檀B」の講義が行われ、約30名の受講者が参加しました。
龍樹の説く四悉檀は、天台にとって、三諦、四教、五重玄の基礎となり、「経⇒論⇒釈」という発展構造にしっかりと意義付けられねばならないものです。仏陀の「経」とその解説である印度の菩薩(龍樹)の「論」、そしてその経と論に基づく、中国の論者(天台)の「釈」、その三つが整合性を持つことが重要で、天台は四悉檀について中国の他の論者にまして多くの論考を残しています。即ち、四悉檀が、仏陀のすべての「経」に適用できるならば、三諦、四教、五重玄といった天台の「釈」もすべての「経」に適用できることになるからです。
講義では、「起觀教」の項を中心に、あらゆる法門を「四悉檀」⇒「三諦・四教」を通じ、法華最勝に帰そうとする天台の驚くべき統合力が紹介されました。
中でも、『勝鬘経』から導き出される「界外の生死」や、「従仮入空 従空入仮」の「仮」の相違が別教へと通じること、また通教は「被接(ひしょう)」し、円教に転入する場合があること、また別教の「初地」は円教の「初住」に相当し、以降、証道が同じとなるので、別教には仏菩薩がいなくなるとのことなど、天台の深淵に迫る菅野先生の講義は非常に素晴らしいものでした。
また、よく言われる「八万四千」の法門数が、『賢劫経』に基づき、350法門に六波羅蜜と四分煩悩をかけ合わせ、それを10倍したものであるとの説は、興味深いものでした。
第8回目の次回は、11月28日(月)18:30より、常円寺祖師堂地下にて『「妙法」解釈についての旧説(1)』の講義となります。
皆様のご聴講をお待ちしております。