2月4日(土)、大竹晋先生の連続講座「史実・僧侶妻帯世襲―ブッダ時代から現代まで」の第5回「日本篇Ⅳ・近現代の僧侶妻帯世襲――教義はどう変わったか:禅門篇」が行われました。
曹洞宗において妻帯の宗学者が駒澤大学の総長・教授に就任後に教義が変わっていく傾向が発生したとして、例として当時の総長である忽滑谷快天が輪廻転生を否認・男女の欲を断ちきらないことを主張、また忽滑谷は男女の欲を断ちきることにつながる悟り体験を批判して、そのことが「正信論争」に発展。「正信論争」は曹洞宗における僧侶妻帯の拡大と、それに対する反動の産物として検討されるべきものと解説していただきました。
近現代の曹洞宗は在家者への布教の一環として、授戒会を開始して在家者へ授戒するにあたり道元『仏祖正伝菩薩戒作法』にある十の戒のうち「不貪婬」を「不邪婬」へ戒を希釈、その後僧侶が「不貪婬」をたもたないまま授戒会において戒師を務めることが発生して、様々な議論や意見・反省が出てきたのち、近年においては大昔の戒律を守ることに意味はないという意見や戒は僧侶の条件ではなく、僧侶たる精神/覚悟が僧侶の条件であるという精神的僧侶論について紹介していただきました。
禅門諸宗のうち「不立文字」を標榜して教義を軽視する臨済宗において、変えられるべき教義が欠如、希釈されるべき戒が曖昧でありつつ、妻帯については祖師たちの語録と相違があるとしながら、僧侶妻帯の黎明期の例を紹介いただきました。
次回は3月4日に第6回「日本篇Ⅳ・近現代の僧侶妻帯世襲――僧侶はどう変わったか」が開講されます。みなさまの受講をお待ちしております。(スタッフ)