2022年6月21日18時30分より【歴史から考える日本仏教⑨】第3講 持経者から日蓮へー密教をめぐる問題ー が開催されました。今回も対面式、Zoom受講式のハイブリッド形式となりました。
○はじめに →家永三郎『鎌倉新仏教論』からの 出発
・日蓮と密教の関係
・『不動愛染感見記』をめぐる問題
・『感見記』にいたる迂回路
1 不動・愛染説の成立と展開 →真偽未決として進める
・日蓮『感見記』に見る不動愛染の意味
・『感見記』の背景
→日蓮独自のものではない。醍醐三流と 台密との相互交流
・愛染法持彼(秘密灌頂)引信引明口決
→円爾弁円の愛染法持彼
・二元的原理の諸相
・「持彼」の解釈
・慧暁求聞持法口決、付夢想記
・求聞持法図の意味 →図を見ながら図配講義
・求聞持法から『妙法蓮華経』へ
2 清澄山をめぐる中世求聞持法の諸相
・求聞持法の聖地清澄山
→房毎に東密台密が緩やかに混在か。
→古来の求聞持法はシンプルなものか。
・求聞持法関連文献の検討
→自流に拘らず広く学ぶ姿勢
・伝法院流の求聞持法
→関東流布の祖としての覚鑁
・称名寺聖教中の『理性院血脈』
→真空を経由して日蓮は覚鑁伝法院流 に連なるのではないか。
3 『不動愛染感見記』を読み解く
・『感見記』の史料学的検討
→日付の問題
・生身拝見の解釈
→印信は大日如来
・『感見記』の先にあるもの
→冥合不二の象徴『妙法蓮華経』
むすびにかえて
・栄西と求聞持法
・日蓮の求聞持法習得再考
→清澄山に於いてはシンプルなものか。
・日蓮の密教の到達点
→家永説とは異なり単なる否定対象では なく様々な水脈の流入。
・複数の思想的系譜 →直接的伝授が思想的系譜ではない。
・歴史的思考の限界
〈質疑応答〉
1 『感見記』の現状
→愛染の乗馬像は珍しい
2 不ニ思想は理智事三点説
→単なる瞑想世界ではなく実践の根拠
3 求聞持法は暗誦の必要性からの要求
4 求聞持法は山上に留まったもの
5 蘇の存在、レシピは
→修法で使用するものと食する蘇との相違があるのではないか。
以上 (スタッフ)