2022年6月25日(土)、法華仏教講座「法華御籤の成立と展開」が行われました。講師は芹澤寛隆先生。日蓮教団に伝わる「御籤」(みくじ)=いわゆる「おみくじ」について、その成立と展開の考察を通して、近世日蓮門下における布教の一端を明かされました。
はじめに、おみくじとは何か、特に現代と近世におけるおみくじの持つ意味について、各時代の人々の日常に、おみくじがどのように関わっていたのかを中心にご説明がありました。近世日蓮門下の多くの寺院で使用された「御籤」は、天台宗系の「元三大師御籤」をルーツとしており、文化年間に日蓮門下寺院で法華宗独自の「法華御籤」が刊行された。芹澤先生は、文化年間から近代にかけて刊行された諸本の写真図版、項目ごとにカラー分けされた表などの資料を紹介くださり、詳細にご説明くださいました。最後に中世から現代までの「元三大師御籤」と、日蓮門下における「法華御籤」諸本の連関を表にまとめ、「法華御籤」の歴史的展開について詳細にご説明くださいました。
芹澤先生は全22頁に及ぶレジュメをご用意され、そこには先生が所蔵される「法華御籤」諸本の写真図版など貴重な情報が満載でした。加えて、なんと先生はレジュメに掲載されている資料の現物を会場にお持ちくださり、途中の休憩時間に聴講者にご披露くださいました。聴講者は貴重な資料を手に取り、食い入るように見入りながら、それぞれの感想を口にしていました。(スタッフ)