通算で第26回目となる「『法華経』『法華文句』講義」ですが、今回も7月13日に実況オンライン講義での開催となりました。テキストでは『法華文句(Ⅰ)』230頁の最後の行で「供養とは~」からで、経文では「供養恭敬、尊重讃歎せられて、諸の菩薩の為に、大乗経の無量義・教菩薩法・仏所護念と名くるを説きたもう。」になります。
先生は「講義メモ」をご用意くださり、『無量義経』の七言偈について述べて、そして無量義処三昧の「六瑞と十妙」と「十二部経」について、下記のように詳しく説明頂きました。
- 「六瑞」と「十妙」の関係について
(六瑞) (十妙)
1、説法瑞 → 説法妙・智妙
2、入定瑞 → 行妙
3、雨花瑞 → 位妙
4、地動瑞 → 境妙・乗妙(三法妙)
5、衆喜瑞 → 眷属妙・利益妙
6、放光瑞 → 感応妙・神通妙
- 十二部経
- 修多羅は梵語スートラ(sūtra)の音写で、経、法本、契経、線経などと漢訳する。いわゆるお経のなかで、教えを簡略にまとめた聖典の中の文句を指す。たとえば、諸行無常、 諸法無我、涅槃寂静などのことといわれる。『涅槃経』『法華経』などのように個別の経典 全体の呼び名としての意味とは異なる。
- 祇夜はゲーヤ(geya)の音写で、重頌、応頌などと漢訳する。修多羅の部分を韻文で繰り 返す部分をいう。
- 和伽羅那はヴィヤーカラナ(vyākaraṇa)の音写で、授記と漢訳する。授記は『法華経』に 強調される未来の成仏の予言のことも意味するが、そればかりでなく、もっと広い意味で、 声聞、縁覚、六道などの未来に果報として得るべき境涯を予言することをも含む。
- 伽陀はガーター(gāthā)の音写で、不重頌、孤起頌、諷頌などと漢訳する。また、偈とも 音写する。祇夜と異なり、前に散文がなく、韻文が単独で出る場合を意味する。
- 優陀那はウダーナ(udāna)の音写で、無問自説と漢訳する。弟子の質問がないのに、仏が 自らの感興のままに説きだしたものをいう。
- 尼陀那はニダーナ(nidāna)の音写で、因縁と漢訳する。仏が経や律を説く場合、その因 縁、由来を説いたもののことである。
- 阿波陀那はアヴァダーナ(avadāna)の音写で、譬喩と漢訳する。お経のなかに説かれる譬 喩を指す。
- 伊帝目多伽はイティヴリッタカ(ityvṛttaka)の音写で、本事、如是語などと漢訳する。『法 華玄義』には、伊帝目多伽に二種あるとして、第一を「結句」といっているが、これは如 是語の意味に該当するもので、「仏はこのように説いた」という語で始まる経をいう。第二 は本事に該当するもので、仏や弟子の過去世の因縁事績を説いたものをいう。
- 闍陀伽はジャータカ(jātaka)の音写で、本生と漢訳する。仏の前世の物語をいう。
- 毘仏略はヴァーイプリヤ(vaipurya)の音写で、方広と漢訳する。広大深遠な説を詳しく 展開したものをいう。『法華玄義』では、大乗経典は阿耨多羅三藐三菩提を得るためにこの 毘仏略を説くとしている。
- 阿浮陀達磨はアドゥブフタダルマ(adbhutadharma)の音写で、未曾有と漢訳する。仏が 神通力を示した部分や、仏の偉大な功徳を讃歎した部分を指す。
- 優波提舎はウパデーシャ(upadeśa)の音写で、論議と漢訳する。仏や弟子が論議分別し て教えの意義を説き明かしたものをいう。
講義は、「無量義」の解釈までの240頁の10行目で終了しました。次回は8月31日、11行目の「「教菩薩法」とは、無量義処にして、用て菩薩を教うるなり」からになります。御受講宜しくお願いいたします。 (文責:スタッフ)