令和7年11月29日(土)午後3時30分~、都守基一氏による講座「日蓮教団諸門流の教学」が、対面とオンライン配信によるハイブリッド形式で行われた。都守氏は本講座の視座について、「おもな日蓮教団の門流の変遷と教学理解の相違を、日蓮宗の立場から概観する」ことを目的として、豊富な資料を紹介しながら詳細に解説してくださった。
はじめに、六老僧を中心とした日蓮教団の歴史的展開について、日蓮聖人滅後より令和現代にいたるまで、詳細に説明された。このなかで近世の資料『寺院本末帳』の記述より、各門流の本寺および末寺の数を明らかにされ、また文化庁から発行されている令和六年版『宗教年鑑』の記載から、既成門流教団はもとより近世には存在しなかった日蓮系の新興在家教団の現況についても言及された。
つぎに、日興、日什、日陣、日隆、日真の勝劣派の各門流の教学について、本迹勝劣論や本尊論の展開を中心に概観したうえで、一致派である日蓮宗の教学について述べられた。このなかで、上記の勝劣派と一致派による本迹勝劣一致論争の展開と、かかる論争に終止符を打つべく両派が参集して会議を開き、和睦の条文を定めたことなどをご紹介くださった。また、両派の論争に関連して、いわゆる法本尊と仏本尊の問題、具には一尊四士と大漫荼羅の関係性などについてもご説明いただいた。
今回、都守氏が取り上げてくださった日蓮教団諸門流の教学をめぐる問題は、日蓮聖人滅後の日蓮教団における、法華経本迹の一致勝劣をめぐる問題である。それは各門流において教学の核となるものであり、ひじょうにデリケートな側面を有する。そこにあえてメスを入れてくださった都守氏には甚深の謝意を表する次第である。
本講座には各門流の教師の方が聴講してくださり、講座終了後には各方面の方々からご質問があり、本迹論を中心に熱心な質疑応答が交わされた。
(スタッフ)