去る8月2日、法華仏教講座第5回として、本間俊文先生をお招きして「近世過去帳の世界 ―西山本門寺18世日順『内過去帳』を中心として―」講義が行われました。
本間先生は、静岡県富士宮市の西山本門寺に伝わる寺宝の分類・解読に当たられ、その成果として「西山本門寺寺宝類聚」の刊行の一翼を担われ、特に今回の講義のテーマとなった18世・日順上人の内過去帳(私的な過去帳)を図説する第三巻を受講者に進呈いただき、それを参照しながらの講義となりました。
最初に、過去帳の変遷と現存状況をご説明いただき、平安期の横川首楞厳院廿五三昧起請(横川首楞厳院は現在の比叡山延暦寺横川中堂)に始まり中世前期には俗人も過去帳に記載されるようになり、また当該寺院と直接利害関係のない者や無縁かつ不特定の異常死者さえも記入する例などをご紹介いただきました。そして中世から近世初期の過去帳の現存数は僅少であり、この内過去帳には貴重な発見があったことなどをご紹介いただきました。
内過去帳であることの理由は、この過去帳が江戸にあった上行寺の檀信徒の物故者が記載されており、特に江戸の市中で移転を繰り返し、その近隣の付き合いの中で檀信徒以外の交流のあった人物も記載されていること、そしてそれが日順上人の西山本門寺晋山に伴い西山本門寺に残されていることなどから読み取れるとのことでした。
その膨大な記録の中から、歴史上も著名な江戸幕府に仕えた三浦按針の名が記録されており、かつ現在まで没年が不明であった二代目三浦按針(ジョセフ)の没年月日が明らかになり、かつ記載の内容からこの二代目三浦按針と上行寺に交流があったことなどが明らかに読み取れるなど、本間先生の解説は非常に示唆に富む興味深いものでした。
是非とも皆様にもこの本間先生の成果である「西山本門寺寺宝類聚」、この巻3を目の当たりにし、その素晴らしい成果と江戸初期に生きた人々の息吹を感じていただきたいと思った次第であります。(スタッフ)