5月18日(土)、佐藤厚先生の集中講座「韓国仏教の諸相」が、新宿・常園寺およびオンラインによる配信にて午後1時半より四時間にわたり行われました。
最初に韓国の宗教状況の分布として、4人に1人がキリスト教でもっとも多く、それは朝鮮戦争後の米国からの布教と、経済成長にともなって地方から都市へ移動した人々の心のケアをキリスト教が担うことで信徒を増やしたことを説明していただきました。
また宗教人が一般の人々に影響を与えており、雑誌のアンケートなどで「韓国を動かす宗教人」としてキリスト教や仏教の宗教者が名を連ねていることを解説していただき、日本よりも宗教者が社会・世間で受容されているという印象を持ちました。
その後は韓国における仏教の歴史について説明していただき、朝鮮半島に伝来して隆盛した仏教が、朝鮮時代に儒教の影響で抑圧され11宗から2宗に統合されたこと、植民地時代に朝鮮総督府の仏教保護とともに日本の影響で僧侶の妻帯が増加したこと、独立後は妻帯僧追放のための浄化運動に関連して教団の分裂があったことなどを挙げていただきました。
現代における日本との違いについて、韓国ではお寺が祈祷の場として大学入試の合格を母親が祈祷したり、自己の悩みを祈祷・修行により克服するために行く場として認識されているとともに、それが現世利益を意味する「祈福信仰」であるという批判もあることを紹介していただきました。
今回の講義ではレジュメだけではなく、ネットでの動画を視聴しながら説明いただくことにより、韓国での宗教事情についてイメージしやすく講義していただきました。あらためて佐藤厚先生に感謝申し上げます。(スタッフ)