令和6年3月23日(土)午後4時30分~、川﨑弘志氏による「佐渡始顕本尊の研究(二)―国柱会の佐渡始顕本尊の真偽論―」の講座が、対面とオンライン配信による、ハイブリッド形式で行われた。
昨年秋に行われた第一回目の講座では、身延曽存の「佐渡始顕本尊」について真偽論を中心に詳細な解説をしていただいた。第二回目となる本講座は、国柱会に伝来する佐渡本尊の真偽について、第一回目と同様に詳細に解説をしていただいた。
国柱会の「佐渡始顕本尊」は同会の創設者である田中智学氏が、手ずから臨写した本尊である。しかし当本尊の原本の所在は不明であり、その伝来も様々な人の手を伝い紆余曲折を経ているという。
川﨑氏は、国柱会の「佐渡始顕本尊」が偽筆であることの理由として8点を挙げている。その要旨は、当本尊が文永期の日付でありながら、弘安期の特徴を有しているとする。すなわち、佐渡において文永期に書かれた本尊が、弘安期の特徴を有することはあり得ない、と述べる。
本尊は、信仰者の直接的信仰対象となる重要なものである。その真偽を論ずるとなれば、ときに感情的なやりとりになっても不思議ではない。特に偽筆だと言われた側の当事者にとっては看過できない問題となろう。講座終了後の質疑応答で、国柱会の関連団体の方から質問があり内心ハラハラしていた。しかし、その心配は杞憂に終わる。質問者の方もその質問に答えた川﨑氏も、ともに冷静に議論を重ねていた。両者のやりとりのなかに「門流や会派の中垣を超えて法華仏教(日蓮仏教)の共通の智を学ぶ」という法華コモンズの理念を見た思いがした。(スタッフ)