講座「仏教哲学再考②―『大乗起信論』を手掛かりに」第1講 講義報告

講座「仏教哲学再考②―『大乗起信論』を手掛かりに」第1講 講義報告
2023年10月4日 commons

令和5年10月4日(水)、末木文美士先生による講座「仏教哲学再考②―『大乗起信論』を手掛かりにー」第一回目が開催された。講義概要に、「『起信論』自体を読みこむというよりは、『起信論』が東アジアでどのように受け止められ、どのように変容したかを、真如・

如来蔵・本覚などの概念の展開を含めて考える」とあるように、本講座は東アジアの仏教に大きな影響を与えた『起信論』を手掛かりとし、東アジア仏教思想について学ぶことを目的としている。

はじめに『起信論』の成立問題として、大竹晋『大乗起信論成立問題の研究』(大蔵出版、2018)を参考にし、大竹氏の北朝成立説(中国撰述)は今後定説化していく、と指摘された。

続いて、平川彰『大乗起信論』(大蔵出版・仏典講座、1973)を参考に、『起信論』の伝播について解説された。

次に、張文良「鳳潭の『大乗起信論義記幻虎録』について」(『インド哲学仏教学研究』26、2018・『花野充道古稀記念論文集』739、2020)を参考に、鳳潭に焦点をあてる。「鳳潭は、宗密の『大乗起信論疏』を通じて、散逸した法蔵の『大乗起信論義記』の解釈を理解していたが、東大寺で法蔵の『義記』の写本を発見し、法蔵と宗密との差異(『起信論』の位置づけ等)に気づき、直接に法蔵の『義記』によって『起信論』解釈をする道を開いた」という内容に触れ、第一回目の講義は終了となった。

 

次回は11月8日(水)となります。末木先生は聴講者に対し、分かりやすく解説して下さいます。新規聴講も問題ありません。皆様の聴講申し込みをお待ちしております。なお、本講座はリモート開催となっており、講義動画も受講者に配信し、期間内であれば何度でも見ることが可能です。詳細につきましては、「法華コモンズ」ホームページからご確認ください。(スタッフ)