令和5年8月26日(土)午後4時30分~、坂井法曄先生による「近世後期の日蓮信奉者 深見要言」の講義が、対面講義とオンライン配信による、ハイブリッド形式で行われた。
本講義の視点として坂井先生は「これまで注目されてこなかった人物に光を当てる」と述べて、その生涯を日蓮遺文の出版活動にささげた深見要言の事蹟について説明された。
講義はパワーポイントを使って進められ、深見が刊行した『本化高祖紀年録』や『法華童翫抄』などの資料を紹介し、深見の出身地や生没年などから説明が始まり、深見が行った日蓮遺文刊行がどのような活動であったのか、どんな人々との交流から活動が行われたのか、など深見の生涯を丁寧に解説された。また、坂井先生は深見の出身地である福島県いわき市など、深見のゆかりの土地へ直接足を運び、先生自らがカメラに収めた多くの写真を紹介して、深見を取り巻く環境について詳細にご説明くださった。さらに、講義会場では先生が所蔵されている、実際に深見要言が出版した貴重な原本を聴講者にお見せくださり、資料を扱う際の注意点として、「どんなに高名な学者の論文であっても、その内容を鵜呑みにせず必ず原本の資料を確認しなければならない。なぜならば原本である資料が正しいからである。」と書誌学の専門家ならではの貴重なご教示をくださった。
坂井先生は、膨大な資料をもとに説得力のある説明をされながら、ときにユーモアを交えて聴講者の笑いを誘い、聴講者一同は興味深く先生のお話に聞き入っていた。講義終了後は、聴講者から熱心な質問が寄せられ、一つ一つに丁寧に対応された。貴重なご講義をまことにありがとうございました。(スタッフ)