令和5年5月27日(土)午後4時30分~、新宿・常圓寺祖師堂地階ホールを対面講義の会場として、興隆学林専門学校准教授・立命館大学講師の大平寛龍先生による「『科註妙法蓮華経』と日蓮門下との関わりについて」の講義が、Zoomオンライン聴講もできるハイブリッド型の講義として執り行われた。
『御義口伝』に引用される文献として日蓮門下でつとに知られてきた、中国元代の徐行善による『科註妙法蓮華経』(以下、『科註』)。従来、その主な関心は、そこで引用される『科註』の成立年代(元貞元年、1295)が、『御義口伝』の講述年代(弘安元年、1278)よりも17年も遅いという、執行海秀氏の貴重な指摘に存した。
今回、大平先生は、そもそも『科註』が日蓮門下でいつ頃から如何に用いられ、また如何に広がっていったかなどの重要な問題について、多角的に講じてくださった。
特に、慶林日隆の所持本『科註』とその教学研鑽上の位置、また、近年その存在が明らかになった本国寺日伝写本『科註』などについて、詳細な研究結果を報告してくださった。
日蓮門下における『科註』との関わりについて、日蓮教学史研究の新生面を切り拓いた画期的な御研究に、参加者一同、大変感銘を受けた。また、プロジェクタの特性を最大限に活用した、ハイテンポにして明快なプレゼンテーションは圧巻であった。
当日は、仏教思想研究、日蓮教学研究の第一線で活躍する研究者、大平先生が所属される法華宗(本門流)の関係者をはじめ、多くの聴講者が集った。講義終了後の受講者の質問にも明快かつ詳細に解答したくださり、講義終了後、聴講者から大きな拍手が送られた。(スタッフ)