本年度のコモンズ前期講座の第1回となる「『法華経』『法華文句』講義」が、去る令和4年4月25日に開催されました。今回の講義では、レジュメの外に資料として『続法華玄論の注釈的研究』(56頁~71頁)と平井俊英『法華文句の成立に関する研究』(340頁~367頁)が加えられました。【経文】は、「諸仏世尊欲令衆生~」と四仏知見の開示悟入を述べる箇所となります。【テキスト】は、484頁後ろから1行目「第四に正しく釈すとは、先に諸解を出す~」と四仏知見についての諸師の旧説を紹介してから、十三師におよぶ旧説を批判しておわる494頁の9行目までです。レジュメでは①十一師の説、②二師を叙し知見を解す、と二つに分けて十三師の説を現代語に訳し詳しく説明しています。全部は紹介できないので、例として次に分かり易い箇所を挙げておきます。
「ある人は、「三乗別教を『開』とし、三乗通教を『示』とし、抑揚[教]を『悟』とし、『法華[経]』を『入』とする」といっている。さらにまた、人は、「三乗通[教]を『開』とし、抑揚[教]を『示』とし、『無量義[経]』を『悟』とし、『法華[経]』を『入』とする」と解釈している。この二つの解釈は、三句を引き離して[『法華経』以外の]他の経に向かわせ、[入仏知見の]一句を引き離して『法華[経]』に置く。引き離してこじつけて解釈し【擘裂穿鑿】(ヒャクレツセンジャク)し、傷つけ偽る【傷害誣誷】(ショウガイフモウ)。その過失は大きい。」~略~ 「以上の諸師に関しては、みだりにさまざまな経のなかの言葉を取って、すべて『法華[経]』の大意を見ていない。」
次回は5月30日(月)で、通算48講目となります。対面とオンラインのハイブリッド形式で開講していますので、ぜひご聴講ください。(文責:スタッフ)