講座「『法華経』『法華文句』講義」第46回講座報告

講座「『法華経』『法華文句』講義」第46回講座報告
2022年3月28日 commons

菅野博史先生のコモンズ後期講座第6回「『法華経』『法華文句』講義」が、去る令和4年3月28日に開催されました。今回の講義は、【経文】では舎利弗の三度の懇請を受けて釈尊が「汝はすでに慇懃に三たび請じつ。豈説かざることを得んや」と述べるところから始まり、増上慢の五千人起去をゆるして、仏の出世の本懐である「一大事因縁」に言及するまでです。【テキスト『法華文句(Ⅱ)』】では474頁1行目「初周の法説の文を五と為す」から、484頁の後ろから3行目の「厭足有ること無し」まで進みました。

今回のテキストの経文解釈での注目点は、「五千起去」についての問答でした。問いは、仏の神力をもってすれば、五千人を去らせないため説法を聴こえなくしたり、また喜根菩薩と勝意菩薩のような毒鼓の縁を結ぶこともできたのでは?という疑問です。それに対しての答えは、毒鼓の縁には「謗」と「不謗」の二義があり、増上慢の五千人がそのまま居座って広説を聞けば必ず謗る。しかし、謗れば必ず苦しみに堕ちる。謗ることなく今去れば「涅槃時の説法で利益を得る」ができる。だから如来は悲の心で謗らせることなく立ち去らせた(発遺)が、喜根菩薩の場合は慈の心で遠くの利益を得させるため強いて説いて楽種を与えたのだ、という内容でした。この「喜根の強説」を日蓮聖人は重視して、「不軽の強説」と重ねて解釈し、末法時において毒鼓の縁を結び下種を行う折伏の論拠としたのでした。

新年度の第1回となる次回は、4月25日(日)に開催で、通算47講目となります。ぜひご聴講の程、宜しくお願いいたします。          (担当スタッフ)