通算27回目となる8月31日の講義は、テキスト240頁11行目の「「教菩薩法」とは~」から始まります。今回のレジュメでは、ここで解説されている経文部分を、下記のとおり掲載しています。
訓読【爾の時に世尊、四衆に圍遶せられて、供養・恭敬・尊重・讚歎せられて、諸の菩薩の為に大乘經の無量義・教菩薩法・佛所護念と名くるを說きたまふ。佛、此經を說き已って、結加趺坐し、無量義處三昧に入って、身心動じたまわず。是の時に天より曼陀羅華・摩訶曼陀羅華・曼殊沙華・摩訶曼殊沙華を雨らして、佛の上、及び諸の大衆に散じ、普佛世界は六種に震動す。 爾の時に會中の比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷・天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦樓羅・緊那羅・摩睺羅伽・人非人、及び諸の小王・轉輪聖王・是諸大衆、未曾有なることを得て、歡喜し合掌して一心に佛を觀たてまつる。 爾の時に佛、眉間白毫相の光を放って、東方萬八千の世界を照したまふに、周遍せざることなし。下至阿鼻地獄に至り、上阿迦尼吒天に至る。此の世界に於て盡く彼の土の六趣の衆生を見、又彼の土の現在の諸佛を見、及び諸佛の所説の經法を聞き、并に彼の諸の比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷の諸の修行し得道する者を見、復た諸菩薩摩訶薩の種種因緣・種種信解・種種相貌あって、菩薩の道を行ずるを見、復た諸佛の般涅槃したまふ者を見、復た諸佛の般涅槃の後、佛舍利起を以て七寶塔を起つるを見る。 爾の時に彌勒菩薩、是の念を作さく。「今、世尊は神變相を現じたまふ。何の因緣を以て此の瑞ある。今、佛世尊は三昧に入りたまへり。是の不可思議に希有の事を現ぜるを、當に以て誰にか問ふべき?誰か能く答へん者なる?」復た此の念を作さく。「是の文殊師利法王の子は、已に曾て過去無量の諸佛に親近し供養せり。必ず此の希有の相を見るべし。我今當に問ふべし。」】
漢文【爾時世尊,四衆圍遶,供養、恭敬、尊重、讚歎。為諸菩薩說大乘經,名無量義,教菩薩法,佛所護念。佛說此經已,結加趺坐,入於無量義處三昧,身心不動。是時天雨曼陀羅華、摩訶曼陀羅華、曼殊沙華、摩訶曼殊沙華,而散佛上、及諸大衆。普佛世界,六種震動。 爾時會中,比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、天龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦樓羅、緊那羅、摩睺羅伽、人非人,及諸小王、轉輪聖王,是諸大衆,得未曾有,歡喜合掌,一心觀佛。 爾時佛放眉間白毫相光,照東方萬八千世界,靡不周遍,下至阿鼻地獄,上至阿迦尼吒天。 於此世界,盡見彼土六趣衆生,又見彼土現在諸佛,及聞諸佛所説經法。并見彼諸比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷,諸修行得道者。復見諸菩薩摩訶薩,種種因緣、種種信解、種種相貌,行菩薩道。復見諸佛般涅槃者。復見諸佛般涅槃後,以佛舍利起七寶塔。 爾時彌勒菩薩作是念:「今者世尊現神變相,以何因緣而有此瑞?今佛世尊入于三昧,是不可思議、現希有事。當以問誰?誰能答者?」復作此念:「是文殊師利,法王之子,已曾親近供 養過去無量諸佛,必應見此希有之相。我今當問。」】
テキストでは、以上の経文を随文釈義で解説していきます。レジュメでは、「序の科文」として以下のように一覧にしています。
[序の科文]
衆集序
現瑞序―此土六瑞: 説法瑞 /入定瑞 /雨華瑞 /地動瑞 /心喜瑞 /放光瑞
―他土瑞 : 疑念序 /発問序 /答問序
[四輪と四種姓]
銅輪―習種性―(十住)―開仏知見
銀輪―性種性―十行―示仏知見
金輪―道種性―十廻向―悟仏知見
琉璃輪―聖種性―十地―入仏知見
[四方・四色]
東方―青―肝蔵―眼
西方―白―肺蔵―鼻
南方―赤―心蔵―舌
北方―黑―腎臓―耳
中央―黃―脾臓―口(唇)
講義は、引用した以上の経文の解釈を終えて、『法華文句(Ⅰ)』258頁の巻第二下の最後までを終了しました。次の『法華文句(Ⅱ)』の巻第三上に行く前に、あらためて天台教学における『法華文句』の位置づけを学ぶために、次回は『法華文句(Ⅰ)』の付録となっている「解説(上)」を講義して頂きます。