講座「『法華経』『法華文句』講義」第19回講座報告

講座「『法華経』『法華文句』講義」第19回講座報告
2019年10月21日 commons
令和元年10月21日(月)18時30分から、「『法華経』『法華文句』講義」講座(第19回)が行われました。(テキスト170頁2行目から)
今回は声聞の弟子たちが「五部」のうちの法華によって受けた利益を解釈するところから講義されました。
『法華文句』に、「二万の灯明(日月灯明仏)、迦葉仏等は、皆な『法華』に於いて究竟す」とあるのは、日月灯明仏も迦葉仏も
『法華経』を説いた後に涅槃に入ったため、『涅槃経』を説かなかったからだとしています。
また、これら声聞の弟子たちは、内に菩薩道を秘したうえで仏の教化を助けるためにあえて声聞の姿を現したと解釈しています。
次に十の善数について解釈しています。十とは「信・進・念・定・慧・喜・猗・捨・覚・戒」で、この十と十大弟子を順次当てはめていきます。
信は天眼第一の阿那律、進は頭陀第一の迦葉、念は優波離の持律第一、定は目連の神通第一、慧は舎利弗の智慧第一に対しています。
さらに、喜は阿難の多聞第一に、猗は迦旃延の論議第一に、捨は須菩提の解空第一に、覚は富楼那の説法第一に、戒は羅睺羅の持戒第一に対しています。
この十の心作用は心王を助けてよく観行を成ずるとしています。さらにまた、十大地法と十大弟子を対応させています。
十大地法とは、「想・欲・触・慧・念・思・解脱・憶・定・受」のことで、想は富楼那に、欲は迦葉に、触は迦旃延に、慧は舎利弗に、念は優波離に
思は羅睺羅に、解脱は須菩提に、億は阿那律に、定は目連に、受は阿難に対しています。ここまでで、聴衆のうち声聞衆についての解釈が終わりました。
次いで、菩薩衆について解釈していきます。まず『大智度論』を引用して、菩薩は四衆のなかに含まれるが、四衆のなかに菩薩は含まれないとし、
であるから、別々に列挙していることを明かしている。
菩薩については六のカテゴリー(気類・大数・階位・徳を歎じ・名を列し・句を結ぶ)で解釈している
気類とは「菩薩摩訶薩」のことで、「菩提」は道、「薩埵」は心、「摩訶」は大と翻し、道心・大道心の気類であるとしている。
また、菩薩には多種(蔵・通・別・円)あるとして、『大智度論』『大品般若経』『維摩経』等を引用しながら、五味に即して菩薩の多種性を解釈しています。
(176頁15行目まで)
次回は11月25日(月)18:30から開講予定です。
(文責・スタッフ)