平成30年6月9日(土)新宿・常円寺にて、松本史朗先生による「『法華経』の仏教思想を読む」第3回「「譬喩品」の読解「大乗」と「菩薩」の意味」の講座が行われました。
松本先生は「譬喩品」の中心的思想は、”大乗”が優れているという”大乗主義”であり、「方便品」で示された”「一乗」=「仏乗」”という根本的立場を”「一乗」=「大乗」”という図式に変更するために構想されたと思われる、とお考えを示して頂きました。
松本先生は「方便品」や「譬喩品」の内容の精査により、インド仏教史上の歴史的順序、つまりまず声聞の教えがあり、次に菩薩の教えが大乗として説かれ、声聞の教えが小乗として貶められた後に「一乗」=「仏乗」を説く『法華経』が成立したという三段階の時間的順序は「譬喩品」散文部分の作者にはなく、(「方便品」散文部分にも無い考え方である)”『法華経』出現以前(小乗)”と”『法華経』出現以後(大乗)”に、時間と説法を二分化することで、”「一乗」=「大乗」”とすることを意図したと考えられると解説して頂きました。
また、シャーリプトラに対する授記は、”実は菩薩である”からこそ授記されたと見るべきであり、”菩薩だけが成仏できる””真の声聞は成仏できない”とする”大乗主義”が「譬喩品」散文部分で一貫して見られる、その証拠というべきものの一つとして「菩薩行を満たしてから」という表現が存在し、まさに”菩薩行の完遂”が”成仏の条件”とされていると考えられる、と述べて頂きました。
その後、松本先生は「方便品」と「譬喩品」における”一乗真実説”と”三乗真実説”の違い、”三段階説(「小乗」「大乗」「一仏乗=法華経」)”と”二段階説(「小乗」「大乗=法華経」)になどについて解説して頂きました。
次回「『法華経』の仏教思想を読む」第4回は平成30年7月7日(土)となります。多くの皆様のご参集をお待ち申し上げております。(スタッフ)