法華仏教講座・第3回講座報告

法華仏教講座・第3回講座報告
2017年12月16日 commons

法華仏教講座の第三回目は、講師:三輪是法先生による「近代日本における日蓮信仰―上原專祿を中心として―」です。三輪先生は、日蓮宗の季刊教化誌『正法』で「近・現代法華信仰者の足跡」という連載を続けており、「上原專祿」は6回(21~26回分)にわたって取り上げられました。12月16日(土)午後5時より開始された講義では、妻の死を契機に「死者と生者の共闘」という極めて独創的な日蓮解釈をおこなった上原專祿の生涯を、幼児期より年表によって詳しく紹介。その生涯を、第一期「大学教授・国柱会時代」、第二期「日蓮研究」、第三期「利子(妻)の死」という三期に分けて、その時期に執筆された日蓮仏教に関連する著作を一つ一つ取り上げて解説しながら、上原專祿の日蓮認識に迫って行きました。
上原專祿は、戦前のドイツに留学して厳密な資料批判に基づく西欧歴史学の学問方法を体得し、戦後は西洋を熟知した一流知識人として大学改革を始めとした諸活動に従事します。そして、西欧近代の矛盾と弊害を乗り越える方法として、「日蓮認識の道」を課題化しました。こうした上原專祿の刺激的な学的業績は再び見直され始めています。いまコモンズで講義されている間宮啓壬先生も、最新刊の著作の中で自らの研究方法を「上原專祿氏の言葉を借りるならば、「日蓮認識の日蓮的方法」によって(日蓮へと迫る)」ことだと述べています。
講義後の質疑応答も盛んに行われて、あらためて上原專祿に興味を持った受講生も多く、今後はますます論議されていくとの予兆を残して終了しました。
次回は来春の1月20日(土)午後5時より、松森秀幸先生の「唐代天台復興運動と湛然」です。ご来聴よろしくお願いいたします。            (担当スタッフ)