平成29年12月16日(土)、新宿常円寺において菊地大樹先生による「『吾妻鏡』と鎌倉仏教」第3回目の講義が執り行われました。
今回テキストとして配布された資料は、菊地先生作成のレジュメ2種類(テキスト本体と史料編)。さらに、講義中、先生から受講者全員へ御著書(『鎌倉仏教への道』(講談社、2011年))がプレゼントされるというサプライズがあり、会場内は一時、大きな興奮に包まれました。
今回のテーマは「鎌倉武士と仏教」。
まず前回の補足として、頼朝の観音信仰に絡めた最近の先生のお考えをお示しくださった後、法然と鎌倉武士の関係について、熊谷直実の事例を中心に、『熊谷家文書』の解析や、『吾妻鏡』直実説話の虚構と真実についての分析を通しながら詳細にご教示下さいました。その際、プロジェクターを使い、当時の地図を示しながら非常に分かり易く解説して下さいました。
また、鎌倉幕府法と念仏者禁圧、日蓮「念仏者令追放宣旨御教書集列五篇勘文状」等を用いながら、鎌倉における念仏者の活動の様相、さらには、専修念仏の定着の様相を分かり易く御教授いただきました。そして、講義のおわりには、「二君にまみえ」、奇襲が当たり前の「武士道」なき「武勇」の鎌倉時代が抱えた「古代末期の宗教的課題」を浮き彫りにされ、それが、公共的な「安定」を求める宗教の社会的機能への関心、13世紀中期以降における列島社会の新たな課題に繋がって行ったという、極めて貴重な視点を示して下さいました。
今回も、時にユーモアを交えながら、穏やか且つ明快に、心地よいテンポで語られ、瞬く間に経過した2時間でした。また、正確な読解の範を示して下さり、最高学府の指導者、スペシャリストの凄みを感じ取られた受講者が多かったと存じます。
次回の菊地先生の講座は、平成30年1月20日(土)午後2時〜、テーマは「都市鎌倉と天台宗」です。日蓮聖人の行実や教学形成の過程を掘り下げて知る上で必聴の御講義になると思われます。日蓮門下の研究者・学徒のみならず歴史研究を志す研究者・学徒、一般の皆さまのより多くのお越しをお待ち申し上げております。
なお、当日のみの受講(1回3,000円)も随時受け付けておりますので、本HP内の「受講のお申込み」からお申込みください。(スタッフ)