講座「日蓮聖人の御真蹟を拝す」の最終回、第六講「各遺文集の誤読を糺す」が9月16日(土)に開催されました。
山上先生は「第1、これまでの遺文編集の状況」として、筆写本としては①真如日住の御書収集、②行学院日朝の御書収集、③平賀日意の御書収集、④一如日重の本満寺本録内・録外をあげ、刊行本としては①『刊本録内御書』『刊本録外御書』、②小川泰堂『高祖遺文録』、③加藤文雅『日蓮聖人御遺文』(縮刷遺文)、④『昭和定本日蓮聖人遺文』、⑤『日蓮大聖人御真蹟対照録』の5つをあげました。
そして、今回はこのうちの御遺文出版での一大事業であった『日蓮大聖人御真蹟対照録』(立正安国会編)を取り上げて、「出版から半世紀を経過した今日の課題として、第一に「本書上梓後に出版された『日蓮聖人真蹟集成』に収録される新たな断簡や大石寺所蔵分の翻刻」、第二に「正確無比の『対照録』だが、系年の誤りや誤読部分も僅かにあり、また不読とされた箇所も判読できるものもあり、その訂正が必要」であると述べ、具体的に「『対照録』の不読・誤読・その他について」として13の御遺文をあげて検討されました。
取り上げた御遺文は、①『宿谷入道再御状』、②『立正安国論』断片、③『土木殿御返事』、④『弁殿御消息』、⑤『正當此時御書、⑥『陰徳陽報御書』、⑦『十字御書』、⑧一分爛脱十三行断簡』、⑨『本門大法御書』、⑩『大田殿女房御返事』、⑪『御衣布給候御返事』、⑫『光日房御書』断片、⑬『大学三郎殿御書』で、それぞれの墨跡を詳しく検討して訂正・判読の結果をご説明頂きました。
最終講義となった終了後は、受講生の皆さんにそれぞれ「修了証」を配布して、画期的な本講座の幕を閉じました。
(文責 編集部)