平成28年9月26日(月)、菅野博史先生の「『法華玄義』講義」の第6回講座がおこなわれました。
前期講座の最後となった今回は、「七番共解」の最大のポイント「四悉檀」を2回に分け、四悉檀Aの講義が行われ、約30名の受講者が参加しました。
『大智度論』に説かれる四悉檀は、天台教学にとって三観と四教を打ち立てる基盤となった概念で、天台は玄義とともに『維摩經玄疏』にもかなりのスペースを割いて、多方面からそれを解説しているとのことです。
先生は大智度論の現代語訳と参照しながら講義を進められ、丁寧に天台の四悉檀へのアプローチを紐解いていきました。中国の仏教者の「釈」は、仏陀の「経」と印度の「論」に基づかねばならず、智顗もそのように四悉檀の解釈を始めています。今回は解釈の第二項である「辨相」、すなわち各悉檀の特徴が中心の講義となりました。
悉檀とはシッダーンタ「確定した説」の音写ですが、南岳慧思は「悉」は悉く、「檀」はダーナ、すなわち布施として、衆生に遍く施す、仏陀の働きそのものを指すとの独自の解釈を加えています。
四悉檀は仏教の各法門に共通な分類概念とも言え、世界悉檀、各各為人悉檀、対治悉檀、第一義悉檀の四つから成ります。
世界悉檀はいわゆる俗諦的なもの、各各為人悉檀は生善、対治悉檀は断悪、第一義悉檀は悟りの世界とも言えますが、第一義悉檀まで至ると、それまでの存在や善悪がとどかない世界となり、そこに不可説の境地と可説の部分があるとしています。
その第一義悉檀の可説部を大智度論では「諸法の実相」とするのですから、天台教学にとって四悉檀は重要なものであるとのことです。
後期講座の第一回となる次回(10月24日(月)18:30~)は、四悉檀と、五重玄義や三観、四教そして法華経との関連について講義が行われる予定です。
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