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令和6年11月6日(水)、末木文美士先生による講座「仏教哲学再考②−『大乗起信論』を手掛かりにⅡ−」の第10回目が開催された。前回の講座から、『釈摩訶衍論』(以下『釈論』)の問題を主題とした内容となっている。

はじめに、先生は「本覚という概念は『起信論』に見られる。しかし、それがストレートに影響しているわけではない。本覚思想につながる日本仏教の流れの一つを『釈論』の系譜として見ることができるのではないか」と自身の見解を述べられた。

次に、『釈論』の根本思想となる「三十三種法門」(全法門を三十三種に分類)ついて、三十二の法門は門(因、主体)と法(果、真理)がはっきり区別されていることに加え、その全てを含む「不二摩訶衍」のみが門なき法(到達する手段がない)として位置づけられていることなどの特徴を解説された。さらに「三十三種法門」の前重八門・前重八法では、『起信論』で説かれる「真如」と「生滅」という語を、相対的(対立)な見方であるとして使用しておらず、自他一体(対等)とする見方をしていることを説明された。

最後に、早川道雄『釈摩訶衍論の新研究』を参考に、方便門構図(『釈論』の見方)と凡聖構図(『起信論』の見方)の重層性について述べ、さらに井筒俊彦『意識と本質』の「表層意識から意識のゼロポイント」までの図と、円爾の『逸題無住聞書』にある「今経重々大意図」を比較して、その相似性について解説され、講義終了となった。

次回は12月4日(水)となります。末木先生は聴講者に対し、分かりやすく解説して下さいます。新規聴講も問題ありません。皆様の聴講申し込みをお待ちしております。なお、本講座はリモート開催となっており、講義動画も受講者に配信し、期間内であれば何度でも見ることが可能です。詳細につきましては、「法華コモンズ」ホームページからご確認ください。(スタッフ)

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