講座「仏教哲学再考②―『大乗起信論』を手掛かりにⅡー」第3講 講義報告

講座「仏教哲学再考②―『大乗起信論』を手掛かりにⅡー」第3講 講義報告
2024年6月12日 commons

令和6年6月12日(水)、末木文美士先生による講座「仏教哲学再考②−『大乗起信論』を手掛かりにⅡ−」が開催された。七回目となる講義では、仏性の問題点と華厳における『起信論』の位置付けを確認する内容であった。

はじめに、東洋文化研究所研究会での意見メモを参考にし、「仏性」について説明された。先生は、「『涅槃経』における「仏性」は、法身説を元として展開している。一方、般若系統では空の積極性を「真如」として発展していく」と指摘し、さらに「悉有仏性説と玄奘系の五性格別が大きな議論となった。『起信論』の再発見も反玄奘派の動向と関係している」と解説された。

次に、「真如」「如来蔵」については松本史朗氏(『空と縁起』大蔵出版、1989)の基体と諸法(ダルマ)の関係を認めつつも、「仏性」については「違う見方ができるのではないか」と述べて、佐藤嘉文氏(『跳訳道元』ぷねうま舎、2017)の見解に基づいて自身が作図した「世界・世界の外部・世界海」の多元世界(マルチバース)の関係(『死者と霊性の哲学』朝日新書、2022)を解説して、「世界の外部に飛び出していく手がかりとして、外部世界という他者として「仏性」を捉えることもできるのではないか」と指摘された。

続けて、法蔵の教判について、『華厳経探玄記』(五教判)と『起信論義記』(四宗判)を比較し、『義記』では唯識法相宗を肯定しつつ如来蔵縁起宗を高く位置付けているが、華厳円教の立場は曖昧になっていると説明された。さらに、宗密が禅の三宗と教の三宗を立て、心を清浄なるものとして絶対化していることを確認して講義終了となった。

次回は7月3日(水)となります。末木先生は聴講者に対し、分かりやすく解説して下さいます。新規聴講も問題ありません。皆様の聴講申し込みをお待ちしております。なお、本講座はリモート開催となっており、講義動画も受講者に配信し、期間内であれば何度でも見ることが可能です。詳細につきましては、「法華コモンズ」ホームページからご確認ください。(スタッフ)