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令和6年4月3日(水)、末木文美士先生による講座「仏教哲学再考②−『大乗起信論』を手掛かりにⅡ−」開催された。本講座は、全十六回を予定しており、今回は五回目となる。講義概要に記されている通り、本講座は東アジアの仏教に大きな影響を与えた『起信論』を手掛かりとし、東アジア仏教思想について学ぶことを目的としている。

はじめに、『起信論』の体系として、「真如と生滅の認識論(真理の言語化)」とする中観的側面と、「迷いと悟りの発生学(実践的)」とする唯識的側面の二重性が見られることを示した。そして、中国における『起信論』の学説史(七世紀末〜八世紀初めの盛唐期から、近代に至るまで)と、日本における『起信論』系思想の受容史(空海・最澄・安然から、近代に至るまで)の概略を解説された。

さらに、『起信論』に至る思想系譜として、まず初期仏教の縁起論となる「十二縁起」をあげ、つぎに「中観派の言語哲学」でその認識論について述べ、「唯識派の迷いと悟りの理論」でその発生学にふれてから、「中国における唯識と如来蔵」でその二つを融合した地論派と摂論派の学説について説明して、第一回目の講義は終了となった。

今回の講義は、『起信論』の思想史とその思想系譜を全体的に把握することができる内容であった。また、真理の妨げとなる「無明」について、それをどのような働きによって無くしていくのかが問題となっていることが伺えた。

次回は5月8日(水)となります。末木先生は聴講者に対し、分かりやすく解説して下さいます。新規聴講も問題ありません。皆様の聴講申し込みをお待ちしております。なお、本講座はリモート開催となっており、講義動画も受講者に配信し、期間内であれば何度でも見ることが可能です。詳細につきましては、「法華コモンズ」ホームページからご確認ください。(スタッフ)

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