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令和5年10月28日(土)午後4時30分~、川﨑弘志氏による「佐渡始顕本尊の研究(一)」の講義が、対面講義とオンライン配信による、ハイブリッド形式で行われた。

法華コモンズでは、2023年4月に発行された『法華仏教研究』第35号に収録された、川﨑弘志「「佐渡始顕本尊」の研究」の内容を、著者の川﨑氏より二回にわたり解説していただく予定である。第一回目となる本講座では、身延曽存の「佐渡始顕本尊」について真偽論を中心に詳細な解説をいただいた。

「佐渡始顕本尊」は、日蓮が文永八年七月八日に佐渡の地で図顕したとされ、身延山久遠寺に所蔵されていたが、明治八年同寺の大火により焼失している。然るに身延山久遠寺33世遠沾院日亨の『御本尊鑑』などの写本に、同本尊の臨写が残っており、その全容を窺うことができる。

川﨑氏は、『御本尊鑑』を含め多くの「佐渡始顕本尊」の写本及び関連資料の図解を紹介し、諸写本における諸尊勧請の配置や讃文の記述、花押の形状などの諸点の相違について精密に検討し、七点の偽筆理由を挙げて同本尊が偽筆であると推定した。

昨年、川﨑氏が「佐渡始顕本尊の研究」を発表して以降、各方面から反響が寄せられたとのことである。論題が「本尊の真偽論」である以上、論争の惹起は至極当然であろう。川﨑氏はそれらの反響の声に対し、「日蓮の真実を追求する」という信念のもと、一貫して資料をもとにした学術的態度をもって返答している。講座終了後は、聴講者から熱心な質問が寄せられ、川﨑先生は一つ一つの質問に丁寧に対応された。第二回目の講座も大いに期待されるところである。(スタッフ)

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