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令和4年6月4日(土)、末木文美士先生による連続講座「仏教哲学再考―『八宗綱要』を手掛かりに④」前期第2回目が開催され、前回に引き続き第七章「華厳宗」(テキスト356頁)を応用的にひろげた講義となりました。

今回は、「十玄門」と「心の理論の展開」について講義されました。

鎌田茂雄『華厳五教章』(仏典講座28)を参考に講義が進み、「十玄門」における「全体と個」の関係は、ファシズムに通じるような単純な全体主義(ホーリズム)的なものではなく、多角的観点から捉えられている。それぞれが固定的なものではなく双方向で相互に関連しており、「全体」という抽象的なものではなく、華厳の教えは具体的に対応できる多様性を秘めている、と丁寧に解説されました。

「心の理論の展開」では、仏教における「心のありかた」の源泉は『華厳経』にあることを指摘し、さらに玉城康四郎『心把握の展開』(1961)の心の解釈・観心と念仏・禅観と三昧など、詳細に説明され講義終了となりました。現代における「心の問題」を考えるうえで参考になる貴重な講義でした。次回の講義もたのしみです。

本講座は、日本仏教の第一人者である末木先生によって凝然『八宗綱要』を読み解いていく講義となります。日本仏教を再認識するためだけでなく、深く掘り下げて考察していく内容です。質疑応答では、毎回高度な質問が飛び交い、大変参考になります。皆様、聴講の申し込みをお待ちしております。なお、本講座はリモート開催となっており、講義動画も受講者に配信し、期間内であれば何度でもみることが可能です。詳細につきましては、「法華コモンズ」ホームページからご確認ください。(スタッフ)

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