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平成30年10月20日(土)、6人の講師による6回の特別講義の第1講として、川﨑弘志先生による「日蓮と密教」の講座が行われました。

今回の講義では『不動・愛染感見記』を中心に、『不動・愛染感見記』への過去の研究の流れ、その伝来、日蝕の解説、偽筆論への反論などが、豊富な画像と共にパワーポイントで説明されました。レジュメはA3サイズで12頁、72駒のスライドがカラーでプリントされていて大変わかりやすいものでした。

過去の研究の流れでは、昭和43年に『不動・愛染感見記』が重要文化財に指定されたことから始まり、学会発表や書籍での真偽論を中心に時系列で説明されました。

伝来の解説では、『不動・愛染感見記』の流転や木版画の発行が保田妙本寺の寺宝流出事件と密接に関連していることが紹介されました。

日蝕の検証では、パソコンによる天文学の成果と吾妻鑑などの古記録を丹念に整合し、建長元年四月一日に宗祖は高野山で日蝕をごらんになっていたという仮説を導き出しています。

圧巻は偽筆論への反論で、具体的に筆跡鑑定の処方が説明され、講義を伺った後は、やはり『不動・愛染感見記』は真筆で間違いないと感じました。

あっという間に過ぎ去った二時間の講義でした。

次回は平成30年11月17日(土)、上杉清文先生による「《蓮密》をめぐる諸考察」です。

(スタッフ)

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