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年末も押し迫る12月17日、常円寺祖師堂に於きまして、布施義高先生の第9回目の「日蓮教学史と諸問題」の講義がおこなわれました。
前回までに本迹勝劣論の概要を学び、日什、日陣、日隆、日真、日興の各師の教学と、勝劣派各門流の系譜、並びに教学史的特色について学んでまいりました。
今回から「本迹一致論」に焦点を移して御講義頂くこととなり、第9回目となる今回は、「本迹一致論の概観」の第1回目として、総論的な視点からご講義頂きました。
まず、第3回でもご講義頂きました「向目問答」が一致論の成立の大きな契機となったことを確認するところから、話が始まりました。
「方便品(迹門)不読、迹門無得道」を説いた中老僧の天目師に対して、身延第二世の日向師が本迹の相違性と一体性の二面性に着眼しながら「本迹雖殊不思議一意歟」と説かれたこと、この時点では「一致」や「勝劣」というタームは文献の中に見られず、現時点での調査では、「一往勝劣・再往一致」という成語が文献学的に確認されるのは妙顕寺第五世の朗源が最初である、と御教示頂きました。
これらを確認された上で、「本迹一致論」の様々な思想体系を学びました。
本迹一致論の歴史の根底には、大きく は、「迹門正意説」「迹体本用」「久近本迹の理同事異」「本迹雖殊不思議一」という中国天台教学の思想や、日本中古天台独特の本覚思想、観心主義教学の影響が見られること、こうした思想をベースとしながら、「約仏勝劣約法一致」「約宗勝劣約体一致」「機情勝劣仏意一体」「迹門実相中心説」「開顕一致」「本迹未分一体説」「一経一体論」「本迹超絶題目論」「教相勝劣観心一致」「二種本門思想」「本迹相資論」「底上始本相即一体論」「一々文々是真仏」と、様々な一致論の型が主張されたことを、その本質的な問題も含めて、最新の所見を踏まえて丁寧にご説明下さいました。
一口に本迹一致論といっても、これだけ多くの思想体系があることを知り驚きました。
そして 、日昭門流、日朗門流(関東・四条・六条)、日向門流(藻原・身延)、中山門流、の一致派各門流の教学史的傾向を学んでいきました。
今回も、厖大な情報量にもかかわらず、重要ポイントをおさえて俯瞰しやすく、非常にわかりやすいご講義を頂きました。
次回は、平成29年1月21日(土)午後3時~、「本迹一致論の概観その2」ということで、一致派の中でも特に、了義院日達師、一妙院日導師、優陀那院日輝師にスポットを当ててご講義頂く予定です。
当日のみのご聴講(3,000円)も随時受け付けております。
皆様のご参加を是非お待ちしております。(講座担当記)
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