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平成281027日、池上要靖先生の『初期仏教研究-仏滅年代論・経典の成立-』が開講され、第1回として「初期仏教経典の理解」の講義が行われました。

 講義の冒頭において、経典が書かれた貝葉の実物や、刊行されたばかりで、まだ書店には並んでいない『上座仏教事典』などの貴重な資料を教室内に回して頂き、直に拝見する事が出来ました。

 講義はまず初期仏教の定義に始まり、研究対象としての初期仏教にどのようなテーマが存在するのか、また第一次資料(原典)、第二次資料(論文等)を読むのにどのような言語が必要なのか、パーリ語とサンスクリット語の違いなど言語についてのご説明がありました。

 続いて大乗仏教では「経・律・論」と並べられる三蔵について、初期仏教、上座部仏教では成立順の「律・経・論」であり、その第一として戒律経典、特にパーリ律について詳細な解説が述べられました。

 学処の目的(十利)を達成するために、様々な戒律が設けられたことや、初期においては単純かつ項目も少なかったものが、新たに犯された処罰すべき事項に応じて、戒律が追加されていくこと(随犯随制)など、各戒律の項目だけでなく成立過程についてもわかりやすく解説がなされていました。

 現在の上座部仏教についても現地でのフィールドワークを踏まえて堪能である池上先生が、プロジェクターを利用した詳細な資料と、軽妙な語り口でなされる講義は初心の者にもわかりやすい講義でした。また今後は仏滅年代について最新の研究成果も交えながらのご講義があるということで今後の講義が非常に楽しみな2時間でありました。

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