講座「『法華経』『法華文句』講義」第38回講座報告

講座「『法華経』『法華文句』講義」第38回講座報告
2021年7月26日 commons

去る7月26日(月)午後6時半より、第37回となる「『法華経』『法華文句』講義」がオンライン実況講義で開催されました。今回からいよいよ「方便品」の経文の解釈(随文釈義)に入ります。テキスト406頁の最初から、科文分けにふれた「此の品従り下、分別功徳品の十九行の偈におわるまで~」からです。テキストでは始めに科文が説明されて、次に「爾時世尊~」からの随文釈義となります。以下に、その講義の概容をご報告いたします。

はじめの「科文」ですが、『法華経』は三分科経といって、序説・正説・流通説の三説に分けて解釈されます。これには「一経三段」と、本門と迹門に分けた「二経六段」があります。コピー資料の『妙法蓮華経』106頁の方便品の冒頭には「迹門正宗分・法説周・略開三顕一・広開三顕一・長行」とありますが、これは『文句』での科段説明を示したものです。また「言に寄せて二智を歎じ」として、諸仏の権実二智(双歎・双釈・双結)・釈迦の権実二智(双歎・双釈・双結)が続きますが、講義ではこの内容が詳しく説明されました。

テキストでは次に、「爾時世尊~告舎利弗」の文を「衆生を哀れみて定より起つ」と四悉檀で解釈して、また「告舎利弗」の意味とは、智慧第一の舎利弗の小乗の小智を破して、大智を顕さんと欲したことを意味する、として「廃会開覆に十種あり」と続きます。この廃会開覆については、迹門と本門とで、以下の分類がされています。

【迹門】……一に破三顕一、二に廃三顕一、三に開三顕一、四に会三顕一、五に住一顕一、六に住三顕一、七に住[非]三非一顕一、八に覆三顕一、九に住三用一、十に住一用三なり

【本門】……一に破迹顕本、二に廃迹顕本、三に開迹顕本、四に会迹顕本、五に住本顕本、六に住迹顕本、七に住非迹非本顕本、八に覆迹顕本、九に住迹用本、十に住本用迹なり

 

「爾時世尊~告舎利弗」の廃会開覆の意味を説明されたしたのち、講義は経文の「諸仏智慧~」からの随文釈義に入っていきます。今回の講義での随文釈義の箇所については、菅野先生が詳しいレジュメを用意されたので引用します。ご参照ください。

 

【随文釈義(テキスト 412頁10行目~418頁3行目)】

「諸仏智慧」……実智

「諸仏」……[蔵教・通教・別教の]三種の化他の権実でないので、「諸仏」という。

「智慧」……[円教の]自行の実[智]をあらわすので、「智慧」という。この智慧の体は、一心三智である。

「甚深無量」……ほめたたえる言葉である。

「甚深」……仏の実智は如理の底に縦に徹するので「甚深」という。

「無量」……法界の辺を横に窮めるので「無量」という。

「其智慧門」……権智をたたえる。思うに、自行の道前(初地以前)の方便である。前進する【進趣】力があるので、門と名づける。門から入って道中に到達する。道中を実[智]と呼び、道前を権[智]というのである。

「難解難入」……権[智]をたたえる言葉である。十住においてはじめて理解し、十地を入とする。

「声聞縁覚所不能知」……[声聞、縁覚の]執著が重いので、個別的にこれを破るだけである。

「不知」……法身の本意は、もと自行の権実をこれ[声聞、縁覚]に当てはかる【擬】と、機がなく逃走するので、「不知」という。

……『華厳[経]』において頓(トミ)に[声聞、縁覚を]照らすと、耳、口、眼の不自由な人[のよう]であるので、「不知」という。

……方等[経]において強くせめて非難する【弾斥】と、草庵に安んじて留まるので、「不知」という。

……『般若[経]』において転教する(声聞にではなく、方向を転じて菩薩に教えること)と、心に一つの食事でさえ願い取る心がないので、「不知」という。

……今、大機は開発し、光を放ち大地を震動させると、かしことここ、現在と過去の諸仏の道は同じであるが、やはり疑惑を持つので、「不知」という。

「所以者何」……諸仏の二智をどちらも解釈する。

「仏曾親近」~「尽行道法」……諸仏の実智を解釈する。

「勇猛精進名称普聞」……諸仏の権智を解釈する。

「勇猛精進」……権智が深いこと

「名称普聞」……権智が広いこと

「成就甚深」……諸仏の二智をどちらも結論づける。

「成就」……理に合致して究極的なものになること。

「甚深」……彼岸の底に到達すること。……実智をしっかりと結論づける。

「随宜」……機に合致して適合する。

「難解」……七方便が知るものではない。……権智をしっかりと結論づけるのである。

「成就甚深未曾有法」……自行の権実[二智]を結論づける。

「随宜所説意趣難解」……化他の権実[二智]を結論づける。

 

以上、418頁の3行目までで第38回の講義を終えられました。次回の8月30日(月)は、その続きの「吾従成仏已来」よりから始まります。次回もオンライン実況で開催いたしますので、受講の皆さまは、事前に送付するメールのURLをクリックしてご入室ください。

なお、下記の通りテキストに修正箇所がありますのでお直しください。

*テキストの修正箇所 ⇒408頁左4行横(ホシイママ)に→横(ヨコ)に

よろしくお願いいたします。 (担当スタッフ)