講座「仏教哲学再考―『八宗綱要』を手掛かりに」②第2講 講義報告

講座「仏教哲学再考―『八宗綱要』を手掛かりに」②第2講 講義報告
2021年6月5日 commons

2021年6月5日(土)午後4時30分から、末木文美士先生の講義「仏教哲学再考―『八宗綱要』を手掛かりに②」今年度第2回目が開催され、前回に引き続き、法相宗(テキスト242頁)の講義となりました。

はじめに、復習として法相宗独自の教義「五性格別説」と「悉有仏性説・一乗主義」を客観的視点から再考されました。

テキストにもどり、存在論として、⑦「五位百法」を、『俱舎論』に説かれる「五位七十五法」と比較し、心王を八識に数えることや、無為法に特徴があることを明らかにされました。また、阿頼耶識における種子の連続性(種子生種子・種子生現行・現行薫種子)を詳細に見ていき、⑧「三科と百法」を解説されました。

認識論として、⑨「五重唯識」を読み解き、⑩「四分説」において、心の認識の働きである四つ(相分・見分・自証分・証自証分)の関係性を説明し、⑪「三性三無性」では、三性(遍計所執性・依他起性・円成実性)の特徴を示し、それぞれが中道としてとらえているということを解説されました。

悟道論として、⑫「転識得智」、⑬「五法と三身」では、清浄法界と四智(成所作智・妙観察智・平等性智・大円鏡智)の「五法」と、法身・報身・化身の「三身」の関係と解釈を示されました。さらに、密教(金剛界)における五智・五仏思想は、唯識から取り込まれていることを指摘されました。

最後に余論として、「唯識と如来蔵」、井筒俊彦氏の「言語アラヤ識論」、唯識における主観と対象(二元論)の問題を取り上げて、テキスト第四章「法相宗」の読解を終えられました。末木先生独自の視点から解説された今回の講義は、法華コモンズでしか味わえない貴重なものとなりました。

次回は7月3日(土)4時30分より、テキスト276頁の第五章「三論宗」からの講義となります。日程が合わない方でも受講申し込みいただければ、動画配信を行っておりますので、よろしくお願いいたします。詳細につきましては、「法華コモンズ」ホームページからご確認ください。(スタッフ)